韓国で首都圏を中心とした住宅価格の急騰が続き、庶民が苦境に立たされている。KB国民銀行によると、4月のソウルのマンション平均売買価格は約11億1100万ウォン(約1億954万円)で過去最高を記録。市民団体の調査では、2017年からの4年間で約5億3000万ウォン上昇し、ほぼ倍増した。既に過熱状態にあった不動産市場に、新型コロナウイルスの危機対策で生じた低金利マネーが流入、歯止めがかからなくなった。バブル崩壊の懸念もくすぶる。
契約前日に値上げも
「私たちに買える物件は、郊外でも古くて小さい家だけだった」
1月、ソウルの南西に位置する京畿道・始興市で築25年ほどの中古マンション(約60平方メートル)を約2億2000万ウォンで購入した40代の会社員女性、李孝淑さんは嘆いた。
李さんは昨年12月の結婚を機に家探しを始めた。ソウルで賃貸物件を探したが、予算内で満足できる物件は皆無。ソウル中心部から公共交通機関で1時間以上かかる始興市を物色したものの、価格高騰は同じだった。
本契約の前日に売り主から突然1000万ウォンの値上げを要求され、断ると仮契約を破棄されたこともあったという。
購入後も周辺物件はさらに値上がりした。李さんは「買えただけでも良かった」と話すが、約1億4000万ウォンのローンを抱えた。李さんの年収は約4000万ウォン。自営業の夫の収入は不安定だ。
韓国では「ヨンクル」という、住宅購入などのために「魂まで全てのものをかき集める」との意味の造語が流行しており、李さんは「まさにヨンクルだった」と振り返る。
過去18年間のソウルの6万3000世帯のマンションの実勢価格(約80平方メートル)を分析した市民団体「経済正義実践市民連合」によると、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足直前の17年1月と20年12月との比較で上昇率は82%に到達。朴槿恵(パク・クネ)前政権時は25%だった。
政策効果は限定的
最近の急騰の要因は、コロナ対策で韓国銀行(中央銀行)が政策金利を過去最低の0.5%に引き下げ、人々が低金利でお金を調達できるようになったことだ。
かねて韓国では、首都圏への人口集中に加え、価格が上がり続けるとの「不動産神話」を背景とした投機が社会問題となっていた。
政策失敗への批判も強い。文政権は投機撲滅に重点を置き、規制強化を続けたが「供給拡大が必要なのに需要抑制に焦点を当てている」との指摘が相次ぐ。今年に入り方針転換し、25年までにソウルの32万戸を含め全国で計83万戸を供給する計画を発表したが、目立った効果は出ていない。(【「文大統領の経済政策は間違っていた」】ついに財閥系企業の“韓国脱出”が始まった)
ただ金利が今後上昇し、住宅供給が予定通り進めば、数年後には住宅が「過剰」となる可能性も。バブルがはじけ価格が急落する警戒感も日増しに高まっている。(ソウル 共同)
韓国住宅価格、4年で倍増し庶民苦境 低金利マネー流入で投機に拍車 - SankeiBiz
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