世界景気が回復するなかで非鉄金属と貴金属に対する強気の見方が広がる一方、価格の上昇は長くは続かないとみる向きもある。英調査会社キャピタル・エコノミクスは年後半の中国の景気減速などで年末時点での銅価格は1トン=8000ドルになり、また米実質金利が今後緩やかに上昇することで金価格は1トロイオンス=1600ドルになると予想した。
非鉄金属と貴金属の価格は5月に大幅に上昇。ロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は2011年以来となる1万ドル台に乗せ、その後、過去最高値を更新した。ニューヨーク取引所(COMEX)の金先物(中心限月)は約4カ月半ぶりに1900ドルの節目を回復した。
しかし、3日は米経済指標の改善を受けて米金融緩和の縮小が早まるとの観測が強まり、銅は1万ドルを下回り、金も1900ドルを割り込んだ。
キャピタル・エコノミクスは3日付の調査リポートで、5月はほとんどの金属の価格が上昇したが、このあたりで頭打ちになる可能性があるとの見方を示した。
中国の経済成長が年後半に鈍化するとみられており、その場合はほとんどの非鉄金属の価格が年末までに下落する可能性があるという。
キャピタル・エコノミクスによる年末の予想価格は銅が8000ドル、アルミニウムは2000ドル、ニッケルは1万5000ドル、スズは2万4000ドル(いずれも1トンあたり)。
LMEのスズ3カ月先物は1日に一時、3万1135ドルまで上昇し、11年以来10年ぶりの高値を付けた。
コロナ禍で在宅時間が増えるなか、電子機器や通信機器の半導体向けの「はんだ」需要が増加したことがスズ価格の高騰の一因だが、キャピタル・エコノミクスはロックダウン(都市封鎖)は着実に解除されており、はんだ需要も減少する可能性があると予想した。
金価格、22年は1600ドル割れか
金に関しては、最近の価格上昇は、米実質金利の低下が示唆する上昇幅以上のものだと指摘。ドル安や安全資産への投資、アジアからの強い現物需要が価格を押し上げたという。
一方、金の今後については、米実質金利の緩やかな上昇により下落圧力にさらされる可能性があるとし、アジアの強い需要をもってしても、そうした状況を相殺するには至らないとした。
金は年末に1600ドルになり、22年には1600ドルを下回る可能性があると予想した。
銀の年末の水準については21.50ドルとし、プラチナとパラジウムはそれぞれ1000ドルと3000ドルと予想した(いずれも1トロイオンスあたり)。
銅価格は年末8000ドルへ、中国景気減速で下落 金は1600ドルに—調査 - IG
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