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Tuesday, June 8, 2021

消費税込み「総額表示」義務化でも…税抜き併記の店も、なぜ統一しない? - オトナンサー

税抜き価格を表示する理由は?(2021年3月、時事)
税抜き価格を表示する理由は?(2021年3月、時事)

 今年4月1日から、商品やサービスの値札に消費税額を含めた価格を表示する「総額表示」が義務化されました。実際に支払う税込み価格が一目で分かり、頭の中で消費税額の計算をしなくてもよいので、消費者にとってはありがたい制度だと思います。

 しかし、総額が表示されていれば、税抜き価格も併記することは可能で、スーパーマーケットなど小売店の中には、税抜き価格の方を大きく目立つように書き、実際に支払う価格と誤解されるケースもあるようです。価格表示を総額表示だけに統一すればよいのに、なぜ、税抜き価格も併記することが認められているのでしょうか。消費生活アドバイザーの池見浩さんに聞きました。

付け替えの労力とコストも?

Q.スーパーマーケットなど小売店の中には、総額表示の価格と税抜き価格を併記し、なおかつ、税抜き価格の方を大きく目立つように書いているケースがあるようです。どのような目的で、このような表示をしているのでしょうか。

池見さん「まず考えられるのは、商品そのものの価格である本体価格を消費者にしっかりと伝えたいという理由です。加えて、これまで価格表示を税別で行ってきた小売店が、全ての価格表示を付け替えるにはコストと労力がかかり過ぎるため、これまでの税抜き価格表示に総額表示を付け加える形を取ったという事情もあると思います。

これまでの価格表示は、税別の本体価格を分かりやすく表示してきました。景品表示法の法令上、消費税相当額を含む支払総額が一目で分かり、消費者が誤認しない表示であれば、本体価格をメインに表示しても義務違反にならないため、そのまま利用している場合があると考えられます」

Q.義務違反にはならないとはいえ、税抜き価格の方を大きく目立つように書くことは消費者に誤解を与える可能性があるように思います。景品表示法などの法律に違反しないのでしょうか。

池見さん「違反するかどうかは本体価格と税込み価格の文字のバランスにより、判断が分かれます。『税込み価格の表示が極端に小さい』『税抜き価格の方が特別に強調された色やサイズで表示され、税込み価格が分かりにくい』など、強調された税抜き価格を消費者が支払額だと明らかに誤認するような場合、景品表示法5条2号の『有利誤認表示の禁止』に該当する可能性もあります」

Q.価格表示を総額表示だけに統一すればよいのに、なぜ、税抜き価格も併記することが認められているのでしょうか。

池見さん「税込み価格の表示方法である総額表示だけに統一してしまうと、本体価格と消費税相当額を消費者が知りたい場合、確認しにくくなるからです。総額表示の趣旨は、消費者が自分で支払う金額を一目で分かるようにすることです。しかし、中には、商品の本体価格と消費税相当額をそれぞれ知りたい消費者もいると考えられるため、併記が認められているのだと思われます」

Q.「総額表示だけにすると消費者は値上がりしたと錯覚し、売れなくなるかもしれない」という懸念から、小売店は税抜き価格を強調したいのかと疑ってしまいます。もしそうであれば、日本の消費者はもっと賢くなる必要があるということでしょうか。

池見さん「『総額表示だけにすると消費者は値上がりしたと錯覚し、売れなくなる』という懸念が正しいかどうかはそれぞれの小売店で事情が異なるため、明言はできません。しかし、現時点で、多くの競合する小売店が税抜き価格も表示している以上は、そうした懸念を小売店が感じても、おかしくないと思います。

値上がりしたと錯覚しないために、消費者は見かけ上の価格の高低に惑わされず、実際に支払う金額ベースで価格を比較検討することが大切です。総額表示の趣旨は、消費者が自分で支払う金額を一目で分かるようにするためです。広告の表現と同じように、価格表示もその小売店や企業の消費者に対する考え方が現れます。消費者はそのことを踏まえ、商品を選ぶようにしましょう」

Q.消費者が価格表示によって不利益を被らないため、防衛策としてできることは何ですか。

池見さん「1つ目は、買い物をする際に税別価格で支払額を計算しないように、よく確認することです。また、『小さい・分かりにくい・誤認しやすい』という税込み価格の表示を見つけた場合、直接、小売店の店員に申し出ましょう。

消費者基本法にも明記されている『消費者の8つの権利』の中には『知らされる権利』『意見が反映される権利』があります。『知らされる権利』は消費者が商品を選ぶ際、正しい表示や商品情報を提供される権利です。『意見が反映される権利』は消費者が企業や行政に意見を申し出たとき、その意見に対する対応策が取られる権利です。

消費者一人一人がその都度、声を伝えることは、小売店や企業に考えさせるきっかけとなります。また、その声の数が多いほど影響は大きくなります。苦情や意見を伝えるには、販売業者のウェブサイトの連絡フォームや小売店などに設置されている投書箱、お客さま相談室への電話、手紙などを活用します。

もちろん、直接、店員に伝える方法もあります。一方、自分のツイッターや口コミサイトに書き込むだけでは、直接申し出たことにはなりません。さらに、今後の店選びの際、総額表示で分かりやすい小売店を選ぶのもよいでしょう」

(オトナンサー編集部)

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