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Monday, June 21, 2021

半導体不足で価格転嫁、スマホにも迫る値上げの波 - Wall Street Journal

 世界的な半導体不足はノートパソコンやプリンターの価格を押し上げているが、スマートフォンなど他の売れ筋商品にも影響が波及する恐れが出ている。

 半導体業界が需要増加への対応と供給不足の解消を急ぐ中、半導体の主要材料やサプライヤーを通して雪だるま式に値上げの波が広がっている。このため、世界の大手半導体メーカーの多くがパソコンなどの端末メーカー向け価格を引き上げている。業界関係者からは値上げが続く可能性を指摘する声も聞かれる。

 消費者も負担を感じ始めている。一部ノートPCの人気モデルはここ2カ月で価格が上昇し、小売店ではその他の電子機器も値段が上がっている。価格追跡サイトのKeepaによると、台湾のPC大手、華碩電脳(エイスーステック・コンピューター)によるビデオゲーマー向けのノートPCはアマゾン・ドット・コムでベストセラーとなっているが、今月に入り900ドル(約9万9200円)から950ドルに値上がりした。HP製のノートPC「クロームブック」の価格は6月初頭に250ドルとなり、それまでの220ドルから上昇した。

 バーンスタイン・リサーチによると、HPはここ1年で消費者向けPC価格を8%、プリンター価格を20%超それぞれ引き上げた。HPのエンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)はこうした値上げについて、部品不足によるものであり、コスト増を反映してさらに価格を調整する可能性があると述べている。

 他のPCメーカーも同様の見解を示している。デル・テクノロジーズのトマス・スイート最高財務責任者(CFO)は最近の決算発表に伴う電話会見で「部品コストの上昇を考慮しつつ、適切に価格を調整する」と述べた。また、エイスーステックのある幹部は5月、部品コストの上昇を価格に反映させていると明かしていた。

 既に値上がりしている電子機器もあるものの、コスト増の一部を消費者に負担させるか吸収するかは小売業者が決められるため、消費者への全体的な影響は把握しにくいとアナリストらは述べている。バーンスタインのアナリスト、トニ・サッコナギ氏はHPの価格上昇について、全面的な値上げではなく、通常の割引がないためだと指摘した。

 半導体メーカー幹部は、供給不足に乗じて利益を増やしているわけではないとし、値上げは自社が支払うコストの上昇を反映しているにすぎないと主張する。アナログ・デバイセズのビンセント・ロシュCEOは「価格設定に当たってこのサイクルを利用しているわけではないが、必要な追加供給へのさらなる支払い分は別だ。その分は転嫁している」と語った。

 「コストインフレを目の当たりにしている」と話すのは、米半導体大手ブロードコムのホック・タンCEOだ。同社はアップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」やサムスン電子の旗艦携帯端末に使われる無線通信回路に特化している。タン氏は今月、アナリストとの電話会議で、顧客企業は状況を理解しており、価格上昇にも積極的に耐えていると述べた。

 業界関係者によると、チップ構成部品のシリコンウエハーや、その製造に使用される樹脂や金属など、さまざまな品目でコストが上昇している。

 電子機器部品の米供給大手ディジキー・エレクトロニクスは今年、供給ひっ迫による圧力を受け、半導体関連部品を約15%値上げした。ただ、可能な部分では価格維持に努めているという。グローバル・サプライヤー・マネジメント担当バイスプレジデントのデービッド・スタイン氏が明らかにした。一部の部品では、ここに来て最大40%値上げしているという。

 多くの要因で半導体の需要が急増し、供給不足につながったが、新型コロナウイルス感染拡大で今なお混乱状態にある供給ラインの制約によって、状況は一段と悪化している。新型コロナの感染流行中、在宅勤務や自宅学習に備えるため、記録的な数のノートPCが売れた。医療機器の需要も高まったほか、超高速の第5世代移動通信システム(5G)モバイルネットワークの拡大で、高速通信が使える新型スマホの購入が促された。

 多くの半導体メーカーが加盟している非営利団体、世界半導体市場統計(WSTS)のデータによると、4月に世界で販売されたチップは1000億個近くに達し、過去最高を記録した。コロナ感染が拡大する直前の2020年1月は約730億個で、需要を満たすために業界がいかに力を入れているかが鮮明になっている。

 台湾の調査会社トレンドフォースによると、コンピューター用メモリーの契約価格は、昨年初めから約34%上昇している。コロナ禍でコンピューターゲームをして過ごす時間が増えたほか、画像処理半導体(GPU)大手、米エヌビディア製のグラフィックカードの再販市場も出現し、本来の小売価格より高い値段で売買されている。

 コロナ禍とサプライチェーンの混乱からの回復が続く中、端末価格の上昇は米経済における広範なインフレ上昇の一端を示している。これまでのところ、その上昇は一部の他製品ほど急激ではない。米政府統計によると、コンピューターなど電子機器の価格は5月に年率2.5%上昇し、10年以上ぶりの大幅な伸びとなった。一方、同月の消費者物価は全体で5%上昇。エネルギー価格の急騰が伸びをけん引した。

 半導体価格の上昇が特に顕著なのは、家電製品や自動車に至るまでのさまざまな装置の頭脳となる、いわゆるマイクロコントローラーだ。流通業者の請求価格を追跡するサプライフレーム社によると、マイクロコントローラー販売トップ20社の製品の価格中央値は昨年半ば以降、12%超上昇している。

 電子部品産業協会(ECIA)の主任アナリスト、デール・フォード氏によると、半導体のサプライチェーン全体で見られる直近のコスト上昇が価格データにまだ反映されていないケースもある。また、価格は往々にして長期契約で設定されているため、市場要因による調整が遅れて現れるケースもあるという。

 「原材料費は最近になって上昇しており、これは一時的な状況ではないとの見方が広がりつつあるようだ」とフォード氏は語る。「価格上昇は長引きそうだ」

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