亜鉛の国内価格が2年ぶりの高値圏にある。相対取引の目安となる亜鉛建値は今年に入り、月間平均価格で6カ月続けて上伸。年初から13%高となった。世界的な金融緩和を背景とした投機資金が非鉄金属の国際相場に流入し、相場水準を引き上げてきた。亜鉛の国際相場は5月から落ち着きはじめたが、なお高値安定が続く。 三井金属によると、亜鉛建値の6月平均価格は前月比2700円高の37万8700円。7月も6千円高の38万2千円ではじまり、堅調な値動きとなっている。新型コロナウイルスの感染拡大で国際相場が落ち込んだ2020年3月を底に上昇トレンドが1年以上続く。 指標となるロンドン金属取引所(LME)亜鉛相場は、投機資金の影響が大きい銅に連れる形で上伸してきた。今年に入って同ウイルスのワクチンが普及することへの期待などで押し上げられ、3カ月先物価格は5月に3年ぶりとなる3千ドル台を記録。以降は2900ドル~3千ドル前半の値動きと高止まりしている。 投機筋によると、今後は投機資金の流入要因となった主要国の金融政策の転換動向が注目材料とされるという。 亜鉛の国内価格が右肩上がりで推移する中、溶融亜鉛めっき加工メーカーは苦境に立たされる。需要全体の4割程度を占める建築材向けの端境が長引くのに加え、新型コロナの影響が各分野に波及。溶融亜鉛めっきの生産量は19年10月から今年5月にかけて20カ月連続で前年同月を割り込む水準で推移。好調だった一昨年夏からの反動減が一巡してなお落ち込む現状に、加工賃の改定など採算改善に向けた動きの出現には至っていない。 亜鉛地金の溶融に必要な燃料費も原油価格が上昇に転じ、採算を圧迫している。メーカー各社は経営の合理化などを通じて原価低減に取り組む一方、調達コストの抜本的な解消への道筋は付いていない。日本溶融亜鉛鍍金協会では業界を取り巻く厳しい状況を説明した文書を作成し、ホームページに掲載するなど、めっき加工メーカーの取引先などに理解を求めている。
国内亜鉛価格、上半期右肩上がりで2年ぶり高値圏。めっき加工業者は「調達コスト増」「生産低迷」で苦境に(鉄鋼新聞) - Yahoo!ニュース
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