新型コロナウイルスの影響で低迷していた経済活動が再開したアメリカで住宅需要が高まったことなどから世界的に木材が品薄となり、「ウッドショック」と呼ばれる価格の高騰が起きて日本でも輸入木材の価格の高騰が続いています。
道内の木造住宅における国産木材の使用率はおよそ40%にとどまっていて、残りのおよそ60%は輸入木材に頼っています。
このため、▽木材の高騰が住宅価格の上昇につながり、新規の注文数が減ったり、▽品薄で着工時期に大幅な遅れが生じたりして、住宅市場に大きな影響が出ることが懸念されています。
【札幌の家具店では】
世界的に木材の需要が高まり、輸入木材の価格の高騰が続いていることを受けて、札幌市の家具販売店でも影響が出ています。
札幌市中央区にある家具の販売店では、去年から世界的な木材供給不足が発生し、5月上旬、学習机が廃番になりました。
この木材供給不足の背景として、販売店の担当者は、▼新型コロナウイルスの影響で北米での木材伐採量自体が大幅に減っていることや、▼アメリカ国内で住宅ローンの低金利施策を追い風に住宅需要が大幅に拡大していることを挙げ、これにより、供給元の中国、ベトナムで北米材が入手できなくなったことなどが廃番になった要因だということです。
このほか、感染拡大前から材料の高騰が続いる影響で、ダイニングテーブルや椅子など値上げした商品も多数あるということです。
値上げ率は商品によって異なるということですが、1万円ほど値上げした商品もあるということです。
inZONE・The JOHNSON STORE店の神田康太店長は、「今後も材料の値段は上がり続けると予想している。本社では、ウッドショックの影響から今後、価格を上げなくてはならないという話も出ている」と話していました。
【木材輸入業者は】
主にヨーロッパやカナダ産の木材の輸入・販売を行う札幌市の木材輸入商社では、仕入れ値の高騰に伴って卸し先の工務店などへの販売価格をこれまでのおよそ1.2倍から3倍に値上げしたということです。
また、品薄の影響で入荷が遅れるといった影響も出始めていて、最も遅いものでは半年ほどの遅れが出ているということです。
これまで、入荷が遅れた分は在庫で補っていたということですが、現在、その在庫も底をついたため、卸し先に対して注文量を減らすよう契約の変更を求めたということです。
【“少なくとも年内は続く”】
農林中金総合研究所の安藤範親主事研究員は「“ウッドショック”は少なくとも年内は続き、来年以降、徐々に落ち着いてくるとみられるものの、輸入量、価格ともにコロナ前の水準にまで戻ることは当面見込みがたい」としています。
一方で、「“ウッドショック”は輸入材から国産材へと木材の利用を切り替える絶好の機会になる」という見方も示しています。
その上で「国産材のシェアを拡大させることができれば、国産材需要の減少にも一定の歯止めをかけることができるだろう」と期待しています。
しかし、そのためには「年々減少している林業従事者の確保が課題であり、官民一体となった人材の育成が求められる」としています。
“ウッドショック”木材価格高騰 広がる影響|NHK 北海道のニュース - nhk.or.jp - nhk.or.jp
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