Chromebookは、PC相当のブラウザ性能を持ち、Androidアプリ対応でタブレット的に利用可能なことや、手頃な価格で入手できるコストパフォーマンスの高さで人気を集めている。
起動時間が速く、バッテリも10時間近く持つなど機動性に優れており、外出時に持ち歩くのも便利。もちろん、軽快に動作する作業端末として、自宅でのリモートワークに活用するのも便利だ。
なお、Androidアプリとの互換性は完全ではないため、動画やIME(日本語変換)アプリなど、利用に制限がある点はあらかじめ理解しておこう。
形状はノートPC型の「クラムシェル」、本体からキーボードを取り外せるキーボード着脱式の「デタッチャブル2in1」、ディスプレイが360度回転する「コンバーチブル2in1」の3種類。また、一部モデルはペン操作にも対応しており、ペンが別売か外付けか、本体に内蔵できるか、といった点も各モデルの違いとして注目の部分だ。
Chromebookについての大まかな特徴を知りたい方は、以前掲載した以下の関連記事をご覧いただきたい。
ここでは、2021年に発売された新モデルを中心に、合計5モデルの低価格帯と高価格帯のおすすめのChromebookを紹介する。
5万円以下の低価格モデル
Chromebookが人気である理由の1つは、数万円程度と安価で手に取りやすいモデルがあることだ。このセクションでは、5万円以下の価格帯で、デタッチャブル、クラムシェル、コンバーチブルでそれぞれおすすめの端末をピックアップした。
ASUS「Chromebook Detachable CM3(CM3000)」
ASUS「Chromebook Detachable CM3(CM3000)」は、10.5型と小型で持ち歩きやすいキーボード着脱式2in1モデル。最近では4万円を切る価格で販売されることも多くなっており、価格に手頃感が出てきた。4,096筆圧検知のペン内蔵やオーディオジャックなど、インターフェイスも充実している。
小型モデルのためスペックも高くはないが、軽量さも相まって外出先や家庭内などで軽めの作業をこなすのに向いている。性能よりも取り出しやすく持ち歩きやすい、機動性を重視するユーザー向けの端末だ。
ライバル機とも言えるレノボの「IdeaPad Duet Chromebook」(直販価格4万4,880円)も、10型クラスのサイズとデタッチャブルでほぼ同等のスペック。本製品と比べるとペンが別売、オーディオジャックなしという点が大きな違いだが、キーボードの打ちやすさや背面カバー角度の自由度など、細かな面でDuetが便利な面もある。一番の差別化要因と言える実売価格を見ながら選択するといいだろう。
ASUS「Chromebook CX1(CX1500)」
ASUS「Chromebook CX1(CX1500)」は、キーボードが着脱も回転もしないクラムシェルモデル。ディスプレイは15.6型だが、ディスプレイが11.6型の「CX1100」も用意されており、似たようなスペックで直販価格が2万9,800円となっている。
クラムシェルモデルながらヒンジが180度開くようになっており、ディスプレイ部分を机の上に置いて複数人で見ながら作業する、という使い方が可能だ。
最大の特徴は価格で、CX1500は3万4,800円と3万円台で入手可能。解像度が1,366×768ドットと低めな点が気にならなければ、コストパフォーマンスは非常に高い端末だ。
レノボ「IdeaPad Flex 360 Chromebook」
レノボ「IdeaPad Flex 360 Chromebook」は、11.6型と小型のコンバーチブル2in1モデル。キーボードを外すことができないためタブレット利用時は着脱型よりも重いが、外したキーボードの取り回しに困らない、ディスプレイの表示角度を柔軟にコントロールできるなど、着脱型にはないメリットも多い。
解像度は1,366×768ドットとやや低めだが、USBポートがUSB 2.0 Type-C×1とUSB 2.0 ×1と2種類用意されているのは魅力。Web会議を使わない時にカメラの映像を物理的にオフにできるプライバシーシャッターも搭載している。
背面カメラが非搭載のため、基本的にはPCスタイルで使い、動画鑑賞や読書などをタブレットスタイルで利用する、という使い分けであれば十分に活用できるだろう。
ストレージは32GBと少ないが、64GBのモデルが直販価格5万2,580円で用意されている。レノボの直販サイトはクーポン割引をしていることが多く、さらに安く売られている可能性が高いのもポイントだ。
5万円以上の高価格モデル
Chromebookとしては比較的高価な部類と言える5万円以上のモデルでは、PC相当のプロセッサ搭載して高性能を発揮し、そのほかのスペックでもPC並みの機能を備えているものが増えてくる。Webブラウザ用途が中心であれば、同価格帯のPC以上に使い勝手で優れる場合すらある。
ASUS「Chromebook Flip CM5(CM5500)」
ASUS「Chromebook Flip CM5(CM5500)」は、プロセッサにRyzen 5 3500Cを採用。メモリ8GBでストレージも256GBと、PC並みのスペックを備えた15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)のコンバーチブル2in1だ。
USB 3.1のType-C×2とType-A×1で合計3ポートを備え、映像出力用にHDMIも用意している。無線LANは最新のWi-Fi 6、Bluetoothも5.0をサポートするなど充実のスペックだ。別売ながらペン操作にも対応している。
これだけのスペックながら直販サイト価格は7万9,800円と8万円以下で購入できる点が特徴。Chromebookをサブではなくメインマシンとして使うにも十分な性能と価格のバランスが優れたモデルだ。
同じASUSからはプロセッサにCore i5を搭載し、MIL-STD 810Hに対応した「Chromebook Flip CX5(CX5500)」というモデルもあるが、こちらは直販価格が10万9,800円と、CM5に比べて3万円もの価格差がある。Intelプロセッサと堅牢性が3万円分に相当するかが判断のポイントだろう。
レノボ「ThinkPad C13 Yoga Chromebook(パフォーマンスモデル)」
レノボ「ThinkPad C13 Yoga Chromebook(パフォーマンスモデル)」は、ThinkPadブランドの代名詞とも言えるトラックパッドを備えたコンバーチブル2in1で13.3型のChromebook。トラックポイントを愛用するユーザーには魅力的な1台だ。解像度もフルHD(1,920×1,080ドット)で使いやすい。
カメラはWeb会議用の前面カメラに加えて、500万画素の背面カメラを備え、USBポートも3.1 Type-C×2、3.0 Type-A×2と充実。ディスプレイ出力はUSB Type-Cに加えてHDMIポートも搭載しており、外部ディスプレイ利用にも便利だ。オプションで指紋認証センサーも用意されている。
その他 - 個性豊かな海外モデル
今回は、新端末を発表したASUSとレノボのモデルが中心となったが、国内で一般向けにChromebookを販売しているHPとAcerは、最近海外で新モデルを発表している。現時点で国内では購入できないものの、今後の国内販売を待つというユーザーのためにも特徴的なモデルを紹介しておこう。
HPの「HP Chromebook x2 11」は、11型ディスプレイを搭載したキーボード着脱型2in1。11型のデタッチャブル2in1はChromebookでも人気のカテゴリだが、本モデルはプロセッサに世界初というSnapdragon 7cを搭載するほか、4G LTEにもオプション対応するのが特徴。国内発売されれば、現在も人気のASUS「Chromebook Detachable CM3」、レノボ「IdeaPad Duet Chromebook」を超える注目を集めることは間違いないだろう。
同じHPの「HP Chromebase 21.5 inch All-in-One Desktop」は、世界初を謳うデスクトップ型の端末で、名称もChromebookではなく「Chromebase」となる。ディスプレイ一体型ながらディスプレイが90度回転して縦でも横でも利用でき、タッチ操作にも対応するという非常に個性的な端末だ。
Acerは、業界初という17.3型の大型ディスプレイを搭載した「Chromebook 317」を発表している。サイズも大きいためモバイルには向かないが、大画面好きには魅力的な1台だろう。
Acerは、ハイスペックモデルの「Chromebook Spin 713」も発表しており、世界初となるIntel Evoプラットフォーム準拠のChromebookで、2,256×1,504ドットという高解像度の13.5型ディスプレイやDTS Audio対応の高音質オーディオ、Thunderbolt 4対応といったスペックの高さが特徴だ。
Acer、HPともに国内でもChromebookを一般販売しているため、これらのモデルが日本で発売される可能性は高い。その点を踏まえた上で、本記事が現状販売されているChromebookを選択する決め手になれば幸いだ。
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