主食用米の今年の生産量が、比較可能な2008年以降初めて700万トンを割る見通しとなった。昨年の723万トンから一段と減少することになる。 農林水産省が6月末時点の作付面積を集計したところ、昨年より6万2千~6万5千ヘクタール減ることが分かった。 国内のコメ消費量は、昨年からの新型コロナウイルス流行による外食控えの影響もあって減り、民間在庫は高水準となっている。 米価下落につながる供給過剰を避けるため、農水省が目指した作付けの削減目標をほぼ達成することになった。価格維持の陰で減産が加速する構図がより鮮明になったといえよう。 コメ余りを懸念し、農水省は本年度、飼料用米や大豆、麦などへの転換を後押しする補助金などの予算として過去最大級の計3400億円を計上した。 昨年は6年ぶりに米価が下がった。衆院選を控え、さらなる価格下落を避けたい自民党の働き掛けもあったという。 農水省は生産者団体を通じて作付け転換を促し、北海道や東北などでは戸別訪問して説得した。 結果として41都道府県が面積を減らした。削減規模は宮城県の昨年の作付面積に相当する。 今年は、約半世紀続いた生産調整(減反)が廃止されて4年目になる。減反廃止は、コメ生産を自由化し、経営規模拡大などを通じて競争力を高める狙いだった。 生産数量目標の割り当てをなくす代わりに、農水省が転作を呼び掛け、各地で作付面積の目安や計画を立てる。国主導で米価を維持する従来の図式は変わっていないといえる。 与党や農水省、生産者が作付面積の調整に躍起となる一方、消費者のコメ離れは歯止めがかからない。 人口減少に加え、食生活の変容などで、需要は近年、年10万トンペースで減り続けている。 生産者の収入維持に腐心するあまり価格が高止まりとなり、消費減退に拍車を掛ける悪循環を招いていないだろうか。 コメを国際競争力のある価格にし、輸出によって生産量を増やす道を閉ざしている、と指摘する専門家もいる。 コメ作りの将来は国の食料自給率や国土の保全にもかかわる。減反廃止によって、コメ作りを取り巻く状況がどう変わったのか検証し、場当たり的ではない中長期的なビジョンを示すことが必要だ。
社説:コメ生産量減少 価格保つも展望見えぬ(京都新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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