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Thursday, September 2, 2021

コシヒカリ引き取り価格27%安 農家は「まじでつぶす気?」 栃木 - 朝日新聞デジタル

 JA全農とちぎは、2021年産の県産米を県内のJAから引き取る価格(概算金)を決めた。コシヒカリ(1等)は60キロ当たり9千円となり、前年産に比べて27%(3400円)下落した。コロナ禍で業務用米の需要が低迷した。栃木県は業務用の出荷が多く、大きく影響を受けた。農家からも悲鳴が上がっている。

 農家はコメ販売を委託した各農協から、出荷時に前払い金として概算金を受け取る。

 コシヒカリが1万円を下回ったのは、過剰作付けで値崩れした14年産の8千円以来。27%の下げ幅もここ10年では14年産の32%に次ぐ高さになった。

 他の銘柄も大きく下落した。JAが積極的に売り出す「とちぎの星」は41%も下落した。「あさひの夢」も40%下落し、両銘柄とも7千円となった。「なすひかり」は32%減の8千円。

 全農とちぎが取り扱う主食用米は、7~8割が外食産業やコンビニ向けの業務用として出荷されている。コロナ禍により業務用米の需要の落ち込みは深刻で、県産米の在庫は21年6月末で11万5千トン。全国有数の多さになっている。

 全農とちぎの吉田浩之・米麦総合課長は「コロナまで業務用は安定して出荷できていた」と説明する。関西や九州地域は自県の消費が多く、新潟や北陸地域は関西方面への出荷が多くて下落幅は緩やか。一方、業務用の出荷が多い栃木など関東、東北地域では下げ幅が大きくなる自治体が目立つという。

 とちぎの星は19年の「大嘗祭(だいじょうさい)」で使われた純県産のブランド米。大嘗祭で注目され、作付面積を増やしてきた。その矢先のコロナ禍でダメージを受けた。

 吉田課長は「コロナ禍がいつ収束するか見通せないことも下落の一因だ。米の消費を一層喚起したい」と話した。22年産では主食用米から飼料用米などに作付け転換を進め、需給均衡をめざす方針という。中野渉

「悲しいくらい良いお米なのに…」

 「まじでつぶす気?」

 大田原市花園の米農家西岡智子さん(45)は驚きを隠せない。兼業農家なので生計は立てられるが、設備投資は先送りにせざるを得ないかもしれない。

 この春、計11ヘクタールの水田にコシヒカリ、とちぎの星、ゆうだい21、酒米の苗を植えた。近くコシヒカリの刈り取りを迎える。「稲刈りしながら来年の種もみの申し込みをワクワクしながら考える楽しい時期だったのに。生産調整(減反)を達成しているので、価格が下がると余計に苦しい。何のためにやっているのかわからなくなる」

 収量は増えそうだ。「悲しいくらい良いお米ができました」と苦笑した。「暑すぎず寒すぎず極端な気温差にならなかったので、お米もきれいで、ものすごくおいしいと思います」

 大田原市荻野目の専業農家水…

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