中国放送
いったい、どこまで上がるのか? レギュラーガソリンの店頭価格が過去10年で最も高かったレベルに達しています。原油高騰に伴う石油製品価格の上昇はマイカー利用者だけでなく幅広い業界に影を落とし始めました。 「非常に頭を抱えている問題。」(ロジコム・アイ 小林雄常務) 「お客さんが減れば、使う量は減るけど、それではひどくなる。対策はない。」(いなり湯 下井田繁喜さん) きょうの「イマシリ!」は、『なかなかできない価格転嫁 原油高騰であちこちから悲鳴!』。 ◇ ◇ ◇ ガソリン価格の値上がりが止まりません。こちらは県内のレギュラーガソリンの店頭価格の推移をこの10年間で見たものですが、去年の5月ごろからじわじわと上がり始めて、2週間前、7年ぶりにリッター160円を超えました。そして今日午後2時に発表された最新のデータによると167.5円まで上昇しています。 過去10年で最も高かったのは2014年7月の169.1円。このままいくと超える可能性も出てきました。 ガソリンだけでなく、軽油や灯油も上がっています。軽油も灯油も8週連続で値上がりしていて、軽油は、この1か月ぐらいで1リットルあたり9円近く値上がりとなっています。また、灯油もこの1か月ぐらいで1リットルあたり8円余り値上がりして一斗缶(18リットル)では、1943円まで上がってきています。 原油価格の高騰は、マイカー利用者だけではなく、幅広い業界の“頭痛のタネ”になっています。長距離を走り、全国各地へ荷物を届けるトラック運送業者にとって燃料費の高騰は深刻な問題になっています。 広島市の「ロジコム・アイ」は、自動車部品の運送業者として全国大手です。およそ250台のトラックを保有し、全国すべての自動車メーカーに荷物を届けています。運送エリアは東北から九州までに及びます。 「特に先月から今月にかけて1リットルあたり、うちの仕入れ価格で6円くらい上がっているので、期首に想定した原価を大きく上回っている。」(ロジコム・アイ 小林雄常務) 燃料代は、春からだと1リットルあたり10円以上上がっているということです。燃料タンクの容量は500リットル。毎日、給油するトラックも少なくありません。 「原価の中でいうと人件費と燃料代が大きなウエイトを占めているので、そのうちの1つの燃料が高くなるというのは収支に大きく響いてくる。非常に頭を抱えている問題。」(小林雄常務) とはいえ、燃料の上昇分を運賃に転嫁できない業界の中で、「ロジコム・アイ」はどんな対策を検討しているのでしょうか? 「オイルのデリバティブ取り引きの準備をしている。こういったものでリスクヘッジを行っていく。あとは基本的にエコドライブに努めて、燃料の消費を最小限に抑えることを取り組んでいきたい。」(小林雄常務) あらかじめ将来の売買価格を決めておく「デリバティブ取引」は、価格を決めたときから市場価格が高くなると、支出を抑えるメリットとなりますが、逆に安くなる場合もあります。安くなって、「しまった」と思うことがあっても、事前に決めた価格で取引しなければなりません。 去年はコロナ禍で、自動車生産が減っても燃料代は下がっていたため、収支への影響は最小限でしたが…。 「ことしは稼働が低下している中で逆に燃料の高騰が止まらない。昨年よりも厳しい状況だと感じている。」(ロジコム・アイ 小林雄常務) 年末へ向け、先が見えにくい状況が続きます。 ◇ ◇ ◇ 「これがボイラーですね。湯沸かし器みたいなもので、これ自体が、浴槽の水を引っ張ってきて、それを沸かして、また戻している。」(銭湯「いなり湯」 下井田繁喜さん) 広島市南区宇品海岸にある銭湯「いなり湯」です。戦前に創業し、今は2代目の下井田繁喜さん(72)が経営しています。こちらの銭湯も原油の急激な値上がりが経営を直撃しています。 「今、重油が84円くらい。1年前は50円台、1年で30円くらい上がっている。」 ― 1か月でどれくらい使う? 「1か月で平均3キロ、3000リットルですね。」 ― ということは1か月9万円くらい。たいへんでは?」 「たいへんじゃけど、使わないわけにはいかない。」(下井田繁喜さん) いなり湯は、ジェットバスや薬湯、サウナ用の水風呂なども完備しているため、1か月、およそ3000リットルの重油が欠かせません。ところが重油の値上がり分を価格転嫁できない現実が重くのしかかります。 一般公衆浴場の入浴料は、県が定めており、勝手に値上げすることができないのです。 ― 実際の対策は? 「そりゃ、できませんね。燃料代を少なくすることはできませんよ。お客さんが減れば、使う量は減るけど、それではひどくなる。対策はない。お客さんに節水を呼びかけるとか…。」 ― あとは利益がなくなるだけ? 「それしかないですよね。」(下井田繁喜さん) ◇ ◇ ◇ 今月、ガソリンの小売りの関係の方に話を聞きましたが、北半球は寒い冬になりそうなので石油製品の需要が多くなって、価格はもう一段上がる可能性があると心配されていました。価格転嫁がなかなかできない業界も多い中、影響はまだまだ広がっていくのでは…。
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イマシリ!『なかなかできない価格転嫁 原油高騰であちこちから悲鳴!』(RCC中国放送) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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