冬が近づくのに伴い、エネルギー価格の高騰が日本の消費者や企業にも打撃を与え始めている。群馬県桐生市で銭湯を経営する津久井篤さん(29)も影響を受けている事業者の1人だ。
津久井さんは夫人とともに7月に家業の銭湯「上の湯」を継いだ。それ以降の原油価格上昇に伴って燃料である灯油の価格が高騰したことから、一部をまきで代用することを検討している。
灯油の価格は1カ月あまりで24%上昇している。津久井さんが仕入れる灯油の価格も10月以降、1リットル当たり20円値上がりした。銭湯を継いでから初めて迎える冬に向けて燃料の価格が高騰したことは「苦しい」と窮状を訴えた。
世界的にみて低い日本のインフレ率の陰には、エネルギーを含むいくつかの重要な品目の劇的な価格上昇が隠れている。ガソリン価格は今月、約7年ぶりの高値を付け、政府は今冬の電力需給は過去10年で最も厳しくなると見込む。ラニーニャ現象により北アジアは例年よりも気温が低くなる可能性がある中で、原油価格の上昇が電力の発電コストの増加を招いている。
運輸や金属鉱業といった燃料を大量に消費する業界が最も大きな打撃を受けているが、影響は日本全国に及んでいる。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは、さらなるインフレが歓迎されるニュースでないことは明らかだと指摘。賃金の伸びが停滞する中、生活必需品の値上げは個人消費への逆風となるという。
津久井さんにとっても今後の数カ月は厳しいものになりそうだ。銭湯の入浴料は各都道府県知事が決めており、コスト上昇分を料金に転嫁することはできない。津久井さんは政府が補助金を出すことを検討していることに勇気づけられてはいるものの先行きについては不安が残ると話した。
原題:
From Bathhouses to Fisheries, Hidden Inflation Creeps Over Japan(抜粋)
原油価格の高騰が銭湯にも波及、価格転嫁できず経営者は悲鳴 - ブルームバーグ
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