都区部の持ち家率がこの5年で1.9%低下した(2015年・20年の国勢調査を基に筆者が試算)。持ち家取得期間は約50年なので、長期的にはこの10倍の約2割低下するほどのインパクトである。これは、アベノミクス以降のマンション価格高騰で買えなくなっている人が非常に多いためである。しかし、ここで諦めて賃貸に住むことにしてしまうと、生涯の住居費は持ち家の1.5倍になってしまう。自宅資産を持てる人が「勝ち組」になることは明らかなだけに、何としても自宅を手に入れる方法を考えなければならない。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)
持ち家がないと老後に困る
20代後半から40代後半までの持ち家適齢期の20年間に持ち家率は約40%上昇する。この時期に結婚し、子どもが生まれ、持ち家ニーズが高まるからだ。その中で、持ち家率の低下は夫婦のみの世帯で深刻である。35~39歳では5年前の35.9%から28.7%に7.2%ダウン、40~44歳では47.8%から40.0%に7.8%ダウンと大幅な下落となっている(本文中のパーセンテージは、全て2015年・20年の国勢調査を基に筆者が試算)。
子どもが持ち家に対する強い動機になることは事実で、ファミリー世帯では、30~34歳では5年前の42.5%が40.0%に2.5%ダウン、35~39歳では58.5%が54.6%に3.9%ダウンと下落幅は抑えられている。とはいえ、持ち家が取得しにくいということに変わりはない。
この5年の傾向に基づき将来予測をすると事態の深刻さが分かる。今の30代前半が60代前半になる2050年には持ち家率は51.4%で20年の62.8%の11.4%ダウン、夫婦のみは47.6%で20年の73.5%の25.9%ダウン、ファミリーは72.4%で20年の80.9%の8.5%ダウン、単身世帯は38.0%で20年の42.5%の4.5%ダウンとなる。
家を持たずに老後を迎えるとなると、収入が少ないのに家賃は高額で生活は苦しくなるだけだ。そんな世帯が半数近くに上るのは由々しきことである。それに、年収の低い高齢者に入居審査は厳しい。滞納リスクが高いだけでなく、死亡リスクも高いからだ。こうして、まともな家には住めない老後が待つことになる。都区部の高齢者の約半分が地方出身者であり、実家は近くにないし、実家の築年数は、自分の老後には50年を超えていて、住むにはあまりいい環境とはいえない。
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