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Thursday, December 9, 2021

憧れを具現化した、低価格の伝統的ムーンフェイズウォッチ - Forbes JAPAN

カル・レイモンという新しい時計ブランドがある。

2018年にローンチさせた第1号機は、3万円台というリーズナブルな価格ながら、クラシカルなデザインに美しい仕上げが施されていた。しかも6時位置にはムーンフェイズが置かれている。

デザイン、機構、そして低価格と、現代の時計市場では稀有な存在となったカル・レイモンとは、一体どのようなブランドなのだろうか。


留学生が描いた上質な腕時計製作


このブランドは経済学を専攻するひとりの留学生が、就職活動を機に上質な腕時計を手に入れたいと思ったことからはじまった。2016年のことだ。

希望は長く使えるクラシックなデザインのモデル。しかも彼は、月齢を表示するムーンフェイズ機構に魅せられていた。しかし、購入可能な価格のモデルを見つけることは叶わなかった。この機構を備えたクラシカルデザインのドレスウォッチは、いずれも高額だったのだ。比較的リーズナブルなものでも数十万円、もちろん100万円以上のモデルも数多くある。

そんな現状に一念発起。満足できる本格的なクラシックウォッチを手頃な価格で具現化しようと、同じ留学生の友人とともに起業し、クラウドファンディングで資金を募ることにした。

“Back to Classic”。そのデザインへの想いと手頃な価格でという信念に多くの支持が集まり、国内外から1000万円以上の資金を調達することに成功したのである。

そうしてカル・レイモンの腕時計は、そのクラシカルなデザインにムーンフェイズを載せて3万円台という、価格破壊的なプライスで登場。ライフスタイル誌や時計専門誌でも取り上げられ、好評を博することになる。

起業から腕時計を完成させるまでの2年間は苦難の連続だったという。留学生であり、しかも時計産業で学んだわけでもない2人だったので当然ではあるが、逆にたった2年で自らのコレクションを立ち上げ、完成させたことの方が驚異的といえるだろう。

理想を掲げ生まれたクラシカルな腕時計



Classic Pioneer Gold Blue ¥36,300

腕時計を製作するにあたって、まず大変なのが生産ラインの確保である。しかも経験者ではないので製作会社に何度も断られたのは想像に難くない。それでも長野の精密機械加工・組み立ての工場と契約したことから、止まっていた歯車が動き出した。あとは理想のムーンフェイズウォッチ作りである。

まず大切なのはクラシカルなデザイン。しかも高級感を出すことだった。

その重要な要素のひとつに文字盤がある。その色にはこだわった。高級感が感じられる色を探し、何十種類ものカラーサンプルを作ったという。多くのモデルに使われている落ち着いたネイビーブルーの文字盤は、そうやって厳選されたもののひとつなのである。また、ケースもしっかりと磨かれて上質に仕上げられており、高級感の演出に一役買っている。

デザイン的には、たとえば「Classic Pioneer」シリーズは、文字盤上にインダイヤルでムーンフェイズを含めたカレンダーが並ぶ。この場合、伝統的にバーインデックスとリーフ針の組み合わせが多く、それを忠実に継承している。なるべくシンプルに視認性を確保するという時計本来のあり方がそこにはある。

そして、このモデルの大きな特徴のひとつが、先にも述べたカレンダーを小窓ではなくインダイヤルで表示していることだ。3時、9時、12時位置に、月、曜日、日にちがダイヤル表示されているのだ。6時位置のムーンフェイズとともに美しいバランスで、このデザインが、よりクラシカルに、より高級感を、というブランドらしさを表現している。

魅せられ、こだわったムーンフェイズ機構


そして、こだわりのムーンフェイズである。

ステンレススティールケースのモデルはシルバーで、ゴールドコーティングされたケースにはゴールドの月が描かれており、どのモデルもバランスがいい。

ムーンフェイズとは、月の公転に要する1ヶ月という時間の単位で表現されたものをいう。腕時計の場合、それを月の合から合までの時間の長さ、朔望月(そぼうづき)というもので表現している。合とは月と地球と太陽が直列することで、一般的には新月と呼ばれている状態である。つまり、新月から次の新月までを一周=1月と考えるのである。


Classic Pioneer White ¥34,100

朔望月は、29.530589日で一周する。ムーンフェイズ機構ではこれを29.5日としている。ムーンフェイズの小窓から見える満月は、ディスクに2つ描かれており、59日で一周することになっている。ただし、百分の1日以下を省略しているため、約3年ごとに誤差を修正する必要があるので要注意だ。

太陽暦を使用する今日、月齢表示は必要ないだろう、という方もいるかもしれない。ただ、月見や月にまつわる言葉が数多く残っていることから日本では親和性が高いし、実生活においても、潮の干満がわかるので海釣りなどでは便利な機能でもある。さらに、地球上の生物の交配期や産卵期は、月齢を基準周期にしているといわれており、ムーンフェイズが刻むリズムは、人間にとって欠かせないもののひとつでもある。

だからこそムーンフェイズウォッチは、美しく、高潔でなければならない。カル・レイモンのムーンフェイズはその基準を十分に満たしているといえよう。

新作は初のラグジュアリースポーツウォッチ


そんなカル・レイモンから2022年はじめに、新作「マジェスティ」が登場する。

これまでのモデルと少し趣を異にしたスポーティなもので、ケースからブレスレットまでトータルで設計された一体型である。ケースは単純なラウンド型ではなく、ラウンドとクッションの中間といったところだろうか。そこにヘアラインとポリッシュの仕上げが施されており、薄めのケースに立体感を作り出している。

また、ケースとベゼルの間に直線を強調したレイヤーを取り入れることで、スポーティさを強調している。その雰囲気は1970年代からの流れを汲む、ラグジュアリースポーツウォッチの系譜に属するといってもいいだろう。このカテゴリーは薄型のスポーツウォッチで、高級感と実用性を兼ね備えており、汎用性が高く、スーツにもカジュアルウエアにも合わせやすい万能性が特徴だ。とくにここ2年はカジュアル化が進んだこともあり、大変な人気となっている。

素材は耐食性に優れたステンレススティールを採用。とくに今回は抗アレルギー性の“316L”が使用されているという。

さらに、この価格でインターチェンジャブルストラップが装備されているのは驚きであった。これは工具なしで簡単にストラップ、ブレスレットの交換ができる仕組みで、腕元の雰囲気を変えたいときには最適な機能。

ここ4、5年、高級ウォッチがこぞって採用しはじめたもので、カル・レイモンのような価格帯のモデルでははじめてではないだろうか。しかも替えのストラップが7000円台なので、2つめ、3つめと容易にストックできるのが他とは違うところである。

創業者2人がこだわったムーンフェイズを載せたクラシカルでリーズナブルな腕時計は、ドレスウォッチを経て、ラグジュアリースポーツウォッチをラインナップするまでになった。

今後は、どのような機構を備えたリーズナブル高級ウォッチを登場させるのか。 カル・レイモンは、いま目が離せない時計ブランドのひとつとなった。


マジェスティ
クォーツ、ステンレススティールケース、40㎜径、¥49,500
(3色展開:ブルーダイヤル、ホワイトダイヤル、ブラックダイヤル)
※ブラックステンレススティールケース×ブラックダイヤルはMakuake限定版
https://karlleimonwatches.com/pages/majesty

問い合わせ/カル・レイモン 
HP:https://karlleimonwatches.com
メール:info@karlleimonwatches.com

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