新型コロナウイルスの影響が回り回って、今、中古車の取り引き価格がこの１０年で最も高い水準に高騰しています。
北中城村では１０日、中古車のオークションが開かれ、参加した販売業者からは価格の高さを嘆く声が聞かれました。
世界的な半導体不足に加え、東南アジアで感染拡大に伴うロックダウンが相次いだ影響で、国内では部品が供給不足となり、新車の生産が滞っています。
このため車の買い換えが進まず、市場に出回る中古車の数も減ったことから、中古車の取り引き価格は、この１０年で最も高い水準となっています。
１０日、北中城村の県中古自動車販売協会で開かれたオークションには、おととしの１２月の平均に比べて６０台ほど少ない２８０台が出品されました。
協会によりますと、人気の車種の落札価格は、新型コロナの影響を受ける前と比べて１割ほど上昇しているということです。
オークションに参加した沖縄市の中古車販売業者は「３０万、４０万円ほど高くなっている車もあって大変です。もともと１回のオークションで１０台ほど落札できていたところが、今は２、３台買えればいいほうです」と話していました。
県中古自動車販売協会の幸喜洋三会長は「ねらった価格で落札できないことがざらにあると聞く。品薄は間違いなく響いていて、苦しい状況です」と話していました。
【販売店は】
一方、中古車の販売店では店頭価格を据え置いています。
那覇市おもろまちの中古車販売店では、中古車の販売や買い取りなどを行っています。
このうち販売部門では、ここ３か月ほど、仕入れ価格が新型コロナの影響を受ける前に比べて２割から３割程度上昇していますが、客離れを招かないよう店頭価格は据え置くか一部値下げしているということです。
一方、買い取り部門は、取引価格が上昇しているため、買い取った中古車にオークションで高値がつき好調だとしています。
ユーポス沖縄の吉村直樹営業推進部長は「オークションでの仕入れ価格が、今、店頭に出している値段と同じくらいか上回ることもあります。客はできるだけ安く買うためにインターネットで価格を調べてから来店しているので値上げは難しい」と話していました。
【専門家は】
民間の調査会社は、仕入れ価格の高騰を販売価格に転嫁できない背景について、不透明な経済状況があると話します。
帝国データバンク沖縄支店の水城利治支店長は「家計の収入が上がって、いわゆる好景気になれば、高くても売れるという状況が起こるが、今は家計の収入は特にコロナ禍で厳しい状況にある。思い切って購入というふうにはならず、買い控えをする」と話していました。
そのうえで、中古車の取り引き価格の見通しについて、水城支店長は「自動運転機能や安全設備の向上で車に使われる半導体の数が増えている。各社が増産に向け新工場を建設しているが、当然、数か月でというわけにはいかない。増産体制に入るのは数年後となるため、数年スパンで影響してくるものになるかもしれない」と話していました。
中古車の価格が高騰 新型コロナの影響が回り回って｜NHK 沖縄県のニュース - NHK NEWS WEB
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