原油価格は10日、前日の下落から一転して上昇に転じたが、その後に値を下げ続落した。ウクライナ侵攻の影響で減少したロシア産の原油供給を、主要産油国が埋め合わせるのかをめぐってさまざまな見方が飛び交い、乱高下した。
アラブ首長国連邦(UAE)が石油輸出国機構(OPEC)加盟国に増産を働きかけると受け止められていたが、UAEのエネルギー相はこの期待感を打ち消した。
SPIアセット・マネジメントのアナリスト、スティーヴン・イネス氏は、「原油市場が混乱していると言っても言い過ぎではないだろう。かつてなかった状況になっている」と述べた。
UAEの相反する談話
アメリカのジョー・バイデン大統領など各国の首脳は、原油価格の高騰による家計圧迫を緩和すると宣言している。米当局は、産油国側と供給増に向けて交渉している。
UAEの米大使館は9日、ツイッターの声明で、ユセフ・アル・オタイバ駐米大使が、「私たちは増産を支持し、OPECに生産レベルの引き上げを検討するよう勧める」と述べたとしていた。
これを受け、9日の取引は一時、1バレル106ドル付近まで下落した。
しかしその後、UAEエネルギー相のスハイル・アル・マズルーイ氏は、OPEC加盟国が合意した、現在の月ごとの生産量をUAEは守ると発言。
この影響で、10日は朝の時点で1バレル116ドル前後に値上がりした。だが、その後に再び値を下げて、取引を終えた。
原油価格は、ロシアが侵攻を開始した2月24日と比べて30%以上急上昇。今週は一時、1バレル139ドル(約1万6000円)まで上がっている。
増産は困難との見方
サウジアラビアを中心としたOPECと、ロシアなどOPEC非加盟の産油国が加わったOPECプラスは、価格戦争を避け、市場をコントロールすることで合意している。
豪コモンウェルス銀行のアナリスト、ヴィヴェク・ダール氏は、「この状況でOPECプラスが増産するのは難しいと思われる」と述べた。
BBCのサミール・ハシミ中東ビジネス編集委員は、OPECプラス内では増産は急務ではないとの意見で、加盟国がほぼ一致していると説明。UAEはOPECプラスの主要加盟国ではあるものの、決定権をもつのはサウジアラビアとロシアだとし、増産を決めるのは最終的にはサウジアラビアだとした。
その上で、サウジアラビアもUAEも、ロシアとウクライナの戦争では中立的な立場を取っており、サウジアラビアはロシアが反対するような決定はしないだろうと分析した。
急激なリバウンド
原油需要は、新型コロナウイルスのパンデミックで大幅に下がった状況から、急激なリバウンドを見せている。エネルギー価格は1年以上にわたって上昇している。
ロシアは、世界の原油供給の約7%を産出している。しかし、ウクライナ侵攻で各国の制裁を受け、原油の買い手を見つけるのが困難に。そのことが、原油価格をさらに押し上げる要因となっている。
ロシア産の原油をめぐっては、アメリカとカナダが輸入禁止を発表。イギリスも年末に向けて輸入をゼロにするとしている。
国際エネルギー機関(IEA)は最近、6000万バレルの原油を戦略備蓄から放出することで合意。しかし、市場では価格に大きな影響を及ぼさなかった。
IEAのファティ・ビロル事務局長は9日、備蓄からさらに放出する可能性があるとした。
原油価格が乱高下 ロシア産の減少めぐって市場が混乱 - BBCニュース
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