世界的なエネルギー資源価格の高騰を背景に、静岡県内でも電気やガス料金が大幅に値上がりしている。中部電力ミライズと東京電力エナジーパートナーはこの1年で、標準家庭の電気料金を2割以上値上げした。静岡ガスのガス料金も9カ月連続で上昇。ウクライナ危機で、電気、ガスともにさらなる高騰が見込まれ、消費者からは悲鳴が聞こえる。電力自由化に伴い新規参入した新電力と契約する県内自治体も打撃を受けている。
「請求書を見て目を疑った」。静岡市葵区の主婦(41)は3月の電気、ガス代が計4万円を超えた。前年同月は2万円台で、請求が間違っていないか計算して確かめたという。
同市駿河区のコインランドリー「ル・トン・クレール」は、経費の約4割を光熱費が占める。昨秋、より低額な電力会社に切り替え電気代を抑えた。ただ電力各社が値上げする中、いつまで効果が持続するか気をもむ。契約するガス会社からも年内の値上げを通知された。経営する望月高宏さん(50)は「店舗の料金見直しは時間の問題」と申し訳なさそうに語る。
中電ミライズによると、標準家庭の電気代は昨年4月6310円だったが、今年4月は8076円に跳ね上がった。ウクライナ危機でさらなる上昇の懸念があり、担当者は「動向を注視する」と語る。
掛川市などが出資した新電力会社「かけがわ報徳パワー」は2021年4月、市役所など市内73カ所の公共施設に電気の供給を始めた。ところが、同年秋頃から、電気を調達している電力の市場が高騰。電気料金に転嫁した結果、市は同年度5千万円増額する事態になった。
同社取締役で市環境政策課長の松永真也さんは「エネルギーを地産地消し地域循環型社会をつくるのが会社の理念。いきなり荒波にのまれた格好だが、耐えて目的を実現したい」と語る。
静岡ガスによると、21年4月の標準家庭のガス料金は6331円だったが、今年4月は1143円上がり7474円。電気料金と同じく、LNGやプロパンなど原料費が上昇している。
■世界的需給安定に数年
三菱総研イノベーションサービス開発本部の芝剛史副本部長の話 電気やガス料金が高くなっているのは、国際商品市況の価格が世界的に上昇し原油や液化天然ガス(LNG)など輸入する資源価格が高騰しているのが背景。足元のLNG輸入価格は上がり続けていて、電気、ガス料金はこれから少なくとも半年は上昇傾向が続くだろう。ウクライナ危機を受け、欧州はロシア産天然ガスの輸入量を2030年度までに段階的にゼロにする計画を発表した。不足分は米国やアジアから調達することになり、日本も影響を受ける。世界的な需給構造が安定するには数年はかかるとみられる。
電気、ガス高騰に悲鳴 資源価格上昇にウクライナ危機…|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞
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