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Thursday, April 7, 2022

「価格転嫁」ができない日本企業の語らざる本音 | 国内経済 - 東洋経済オンライン

「インフレ」や「スタグフレーション」という言葉を聞く機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。テレビの情報番組をつければ「ミートショック」や「ウッドショック」など世界的なインフレについて特集していたり、「値上げラッシュが家計を直撃」「FPが教える家計防衛」などのインフレ対策が報じられていたりします。いったい日本の経済は今後どうなっていくのでしょうか? また、私たちの家計や生活にどのような影響があるのでしょうか。経済アナリストの森永康平氏の新著『スタグフレーションの時代』より一部抜粋し再構成のうえお届けします。

日本のインフレ率は低いまま

日本でも値上げラッシュが始まったが、消費者物価指数ベースでみれば日本のインフレ率は他国に比べて依然として低いままだ。2021年12月における生鮮食品およびエネルギーを除く総合は、前年同月比▲0.7%とマイナスだった。仮に携帯電話の通信料という全体を押し下げる特殊要因を除いたところで、日本銀行が目標とする同+2%というインフレ率には届かない。一方で諸外国では歴史的なインフレ率を記録している。

それでは、日本だけがガラパゴス化して物価上昇の影響とは無関係でいるということなのだろうか。当然ながら、そのようなことはありえない。本稿では消費者物価指数ではなく、日本銀行が発表している企業物価指数をみてみよう。

企業物価指数とは、企業間で取り引きされるモノの価格を示す経済指標だ。

2021年12月の企業物価指数は前年同月比+8.5%となっており、消費者物価指数と比べると、他国の消費者物価指数と同様に高い伸び率となっている。同時に発表された2021年通年の企業物価指数は前年比+4.8%で、伸び率は比較が可能な1981年以降で最大だ。これほど企業物価指数が上昇している1つの要因は円安にあるということは円ベースの輸入物価指数の上昇をみればわかるだろう。

それでは、なぜ企業物価指数は世界的なインフレの影響を受けているのに、消費者物価指数には反映されないのか。その理由を探るべく、企業物価指数を需要段階別に分解してみよう。

素原材料の上昇率は非常に高いが、中間財、最終財と消費者が購入する財に需要段階が近づくにつれて、上昇率は大きく縮小している。つまり、これらのデータからわかることは、日本にも諸外国と同様に世界的なインフレの波が押し寄せているものの、現在は企業がコスト増をのみ込み、なるべく販売価格には反映しないように企業努力をしているからといえる。

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