総務省が20日発表した4月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合で101・4と、前年同月と比べ2・1%上昇した。上昇率が2%の大台に乗るのは、消費税率8%への引き上げにより税込み価格が上昇した影響が残っていた2015年3月(2・2%)以来、7年1か月ぶりとなる。消費税の影響を除けば08年9月以来13年7か月ぶりだ。
上昇は8か月連続。生鮮食品を除く522品目中、約7割の351品目が上昇した。コロナ禍からの需要回復やロシアのウクライナ侵攻で高騰する資源価格と円安が影響した。昨春から全体の物価を押し下げてきた携帯電話大手の割安な料金プランの影響が小さくなったことも反映した。
生鮮食品を除く食料は2・6%上がった。伸び率は15年3月以来の水準だった。食用油が36・5%、スパゲティが11・3%、外食のハンバーガーが6・7%など幅広く上昇した。
資源価格の高騰を受け、エネルギー関連は19・1%上昇した。ガソリン価格を抑えるため石油元売り会社へ支給している政府の補助金の影響もあり、上昇率は3月(20・8%)から縮小した。都市ガス代は23・7%、電気代は21・0%、ガソリン代は15・7%だった。
家計の実感に近い生鮮食品を含めた総合では2・5%上昇し、14年10月以来の上げ幅だった。産地の天候不順や燃料費の高騰に伴う輸送コスト増加により生鮮食品が12・2%上昇。タマネギ(98・2%)やマグロ(17・2%)などで伸びが大きかった。携帯電話通信料は22・5%の下落で、3月(52・7%)よりも下げ幅が縮小した。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「今後も外食や加工食品を中心に値上げが進み、今年度半ばにかけて上昇率が2%台後半に達する可能性がある」と述べた。
4月の消費者物価指数は、エネルギー関連や食料品など幅広い値上がりが反映された結果、上昇率が2%を上回った。日本銀行が大規模な金融緩和の目標として掲げてきた物価上昇率を数字の上では達成した形だが、内容は日銀が描くシナリオとは大きく異なっている。
日銀は、賃上げや雇用拡大で国内の消費が活発になり、景気が拡大する中で物価が持続的に上がる好循環を想定していた。しかし、賃金は伸び悩み、コロナ禍からの需要回復などを背景とした物価上昇が家計を圧迫している。
市場では22年度の物価上昇率は2%近くになるとの見方が強い。円安などの影響が本格化し、今後も値上げラッシュが予想される。政府は、ガソリン価格上昇対策の補助金のような「対症療法」だけでなく、企業の賃上げを後押しし、持続的な成長のために生産性を向上させる改革を急ぐ必要がある。(経済部 田島萌)
4月の消費者物価2・1%上昇…資源価格の高騰と円安が影響、7年ぶり大台に - 読売新聞オンライン
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