2022年09月20日 財務局
国土利用計画法に基づく令和4年7月1日時点の東京都の基準地価格については、都内1,285地点の選定基準地の調査を行い、各地点の価格を令和4年9月21日付告示で公表する。
用途区分ごとの地点数は、住宅地773地点、商業地476地点、工業地19地点、宅地見込地6地点、林地11地点である。
地区の分類及び地点数の配分は、次の内訳のとおりである。
[区部]
- 都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区(5区:170地点)
- その他区:文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区(18区:557地点)
[多摩地区]
- 北多摩地区:立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、小金井市、小平市、東村山市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、西東京市(17市:248地点)
- 南多摩地区:八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市(5市:205地点)
- 西多摩地区:青梅市、福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町(4市3町1村:77地点)
[島部]
- 大島町、新島村、神津島村、三宅村、八丈町、小笠原村(2町4村:28地点)
1 令和4年基準地価格の動向
(1)全域的な動向
東京都全域でみた場合、住宅地、商業地、工業地及び宅地見込地の計(以下、「全用途」という。)における対前年平均変動率(以下地点ごとの対前年変動率を「変動率」といい、地区・用途等の区分ごとに算出した対前年平均変動率を「平均変動率」という。)は、10年連続でプラスを維持した。用途別では、住宅地及び工業地の平均変動率は10年連続でプラスとなった。昨年9年ぶりにマイナスとなった商業地はプラスに転じた。
また、令和3年調査では、区部331地点、多摩地区102地点の計433地点で価格が上昇したが、令和4年調査では1,041地点で価格が上昇した。地区別の内訳は、区部が714地点中671地点、多摩地区が523地点中370地点で、用途別の内訳は、住宅地が765地点中628地点、商業地が468点中397地点、工業地が16地点中16地点である(本年新規設定及び選定替した地点を各母数から除く)。
前年から価格が下落した地点は、令和3年は365地点(区部173地点、多摩地区186地点、島部6地点)だったが、令和4年は57地点(区部9地点、多摩地区44地点、島部4地点)となった。
前年から価格変動がない(価格横ばい)の地点は、令和3年は464地点(区部207地点、多摩地区237地点、島部20地点)だったが、令和4年は167地点(区部34地点、多摩地区109地点、島部24地点)となった。
〔地区別・用途別対前年平均変動率〕 |
(単位:%)
|
(2)住宅地の動向
区部では、令和3年調査は222地点で価格上昇、97地点で横ばい、28地点で下落となったが、令和4年は全348地点で価格が上昇した。
多摩地区でも、地価下落地点が大幅に減少し、利便性が高い地域等で相対的に高い平均変動率となっている。一方、斜面造成地や駅からの距離が遠い地域、人口減・高齢化が進む地域を中心に下落幅が大きい地点が見られる。
区部
- 区部全域の平均変動率は2.2%となった。令和3年調査の0.5%から上昇幅が拡大した。全23区で平均変動率がプラスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは中央区の4.0%(前年1.1%)で、新宿区の3.7%、中野区及び豊島区の3.3%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区3.1%、その他区2.1%で、ともに令和3年調査と比較して上昇幅が拡大した。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は1.0%となった。24市で平均変動率がプラスとなり、2市2町1村が0.0%だった。
- 平均変動率が最も高かったのは国立市の2.7%(前年0.7%)で、武蔵野市の2.6%、調布市の2.5%がこれに続いている。
- 平均変動率が0.0%となったのは、町田市、多摩市、瑞穂町、日の出町、檜原村だった。
(3)商業地の動向
区部では、令和3年に価格が下落となった地域も含め全般に価格が上昇したが、中央区及び千代田区の繁華街やオフィスの集積する高度商業地域で、令和3年の下落幅が大きかった地点は、下落幅は縮小したものの引き続きの下落となった。
多摩地区では、価格下落地点はなく、再開発等で地域整備が進んだ駅近接の商業地を中心に、相対的に変動率の高い地点が見られる。
区部
- 区部全域の平均変動率は2.2%となり、令和3年調査の-0.3%からプラスに転じた。平均変動率は、0.0%となった中央区を除く22区でプラスとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは杉並区の3.8%(前年0.6%)で、北区の3.7%、中野区及び荒川区の3.5%がこれに続いている。
- 地区別の平均変動率は、都心5区1.0%、その他区2.8%で、令和3年調査と比較して都心5区はプラスに転じ、その他区は上昇幅が拡大した。
多摩地区
- 多摩地区全域の平均変動率は1.5%となった。24市で平均変動率がプラスとなり、2市2町で横ばいとなった。
- 平均変動率が最も高かったのは府中市の3.8%(前年0.5%)で、調布市の3.5%、武蔵野市及び三鷹市の3.0%がこれに続いている。
- 平均変動率が横ばいだったのは、東大和市、武蔵村山市、瑞穂町及び奥多摩町である。
(4)工業地の動向
インターネット通販の普及等による物流施設への需要増などから、平均変動率は地点の置かれた全区市で上昇となっている。
- 区部全域の平均変動率は3.3%となり、令和3年調査の1.7%から上昇幅が拡大した。新設地点を除く全9地点で変動率がプラスとなった。
- 多摩地区全域の平均変動率は3.1%となり、令和3年調査の2.1%から上昇幅が拡大した。全7地点で変動率がプラスとなった。
(5)地価の半年単位の動向
- 地価公示の標準地と同一地点である基準地(以下「共通地点」という。)のうち、前半期(令和3年7月1日~令和4年1月1日)・後半期(令和4年1月1日~同年7月1日)で比較可能な住宅地及び商業地207地点の変動率をみた場合、185地点において年間変動率で地価が上昇しており、このうち118地点は前半期の変動率より後半期の変動率が高かった。
年間の変動率が0.0%だった17地点のうち、後半期に上昇して0.0%となった地点が5地点、前半期・後半期ともに0.0%だった地点が12地点だった。 - なお、住宅地及び商業地の共通地点を区部・多摩地区に分け、前半期・後半期・年間の変動率を令和3年と令和4年で比較すると、下表のとおりである。
〔地価公示の標準地と同一地点である基準地の動向〕 |
(単位:%)
|
2 地価動向の背景
(1)経済の動向(全国)
令和3年8月から令和4年7月までの「月例経済報告」基調判断をみると、新型コロナウイルス感染症の拡大により上方修正と下方修正の波が見られたが、令和4年4月に「新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる」と上方に修正されると、5月は「持ち直しの動きがみられる」のみの判断となり、7月には「緩やかに持ち直している」との上方修正が示された。(出典:内閣府「月例経済報告」)
(2)土地所有権移転の動向(東京都)
令和3年6月から令和4年5月までの東京都における売買による土地所有権移転登記件数は127,305件、同登記個数は327,464個で、前年同期の125,531件及び306,014個と比較して1,774件(1.4%)増及び21,450個(7.0%)増となっている。(出典:法務省「登記統計」)
(3)住宅市場の動向(東京都)
- 令和3年4月から令和4年3月までの東京都における新設住宅着工戸数は134,313戸で、前年度の133,175戸と比較して1,138戸(0.9%)増となっている。主な内訳をみると、持家は+7.5%、貸家が+5.8%、分譲住宅が-6.9%となっている。地域別でみると、都心3区(千代田区、中央区、港区)が+4.4%、区部全域が+0.4%、多摩地区市部が+2.4%となっている。(出典:住宅政策本部「住宅着工統計」)
- 平成22年を100とした令和4年4月の東京都の不動産価格指数(住宅)は、住宅総合146.4(前年同月比+13.7)、住宅地120.0(同+4.1)、戸建住宅116.4(同+7.1)、マンション176.9(同+15.2)となっている。(出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」)
- 令和4年1月から令和4年6月までの東京都区部の新築マンションの供給戸数は5,426戸で、前年同期の5,816戸と比較して-390戸(-6.7%)となっている。令和4年6月の平方メートル当たり単価は130.5万円/平方メートルで、前年同月期の119.8万円/平方メートルと比較して+10.7万円(+8.9%)となっている。(出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向」)
- 令和3年7月から令和4年6月までの東京都における中古マンションの新規登録件数は96,437件で、前年同期の92,853件と比較して+3,584件(+3.9%)となっている。同期間の中古マンションの成約件数は19,151件で、前年同期の20,869件と比較して-1,718件(-8.2%)となっている。同期間の中古マンションの在庫状況の月平均(小数点以下四捨五入)は21,870件で、前年同期間の月平均21,419件と比較して+541件(+2.5%)となっている。(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch」)
(4)オフィス市場の動向(東京都・都心5区)
令和3年7月から令和4年6月までの都心5区のオフィスビル(基準階面積100坪以上)空室率は、6%台で推移する状況が続いている。令和4年6月の空室率は6.39%で、令和3年6月から13か月連続で6%台となった。令和4年6月の坪当たりの平均募集賃料は20,273円/坪(前年同月比-4.4%)で、19か月連続で前年同月を下回っている。(出典:三鬼商事株式会社「オフィスマーケットデータ」)
(5)不動産投資市場の動向
令和4年6月末のJ-REIT保有不動産額(取得価額ベース)は、21兆5,849億円で、前年同期の20兆8,312億円と比較して、+7,537億円(+3.6%)となっている。物件総数は4,490件で、前年同期から+141件(+3.2%)だった。(出典:一般社団法人不動産証券化協会「ARES マンスリーレポート」)
(6)国内銀行の貸出動向(全国)
令和4年3月期の不動産業向け貸出金残高(国内銀行三勘定合計)は、92兆3,604億円で、前年同期の88兆8,662億円と比較して+3兆4,942億円(+3.9%)となり、42四半期連続して前年同期を上回っているが、前年同期比は平成27年9月期から平成30年12月期までは5%台から7%台で推移していたところ、その後は3%台から4%台前半で推移している。(出典:日本銀行「貸出先別貸出金」)
(7)人口の動向(東京都)
- 令和4年1月1日現在の東京都の総人口は1,379万4,933人で、令和3年1月1日と比較して48,592人の減となっている。区部、多摩地区市部、多摩地区町村部及び島部の地区別でみると、多摩地区市部のみで人口が微増し、増減率は、区部-0.52%、多摩地区市部+0.05%、多摩地区町村部-0.74%、島部-1.50%となっている。(出典:総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
- 令和4年1月1日現在の生産年齢人口(15~64歳)は907万173人で、令和3年1月1日と比較して34,166人の減となっている。うち日本人は5,183人の減で7年ぶりの減となった。地区別では、多摩地区市部で増となり、区部、多摩地区町村部及び島部で減となっている。増減率は、区部-0.55%、多摩地区市部+0.05%、多摩地区町村部-0.84%、島部-1.68%となっている。令和4年1月1日現在の人口総計に占める生産年齢人口の割合は、東京都全体でみた場合65.75%、地区別にみた場合は、区部67.21%、多摩地区市部62.65%、多摩地区町村部54.62%、島部52.72%で、令和3年1月1日の割合と比較して多摩地区市部のみ同率、他の地区はいずれも微減となっている。(出典:総務局「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」)
問い合わせ先 財務局財産運用部管理課 電話 03-5388-2736 |
基準地価格の概要|東京都 - 東京都
Read More
No comments:
Post a Comment