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Tuesday, September 27, 2022

日本もロシアとのエネ戦争の備えを、石油価格の上限設定が引き金に - 日経ビジネスオンライン

ロシアのサハリン2から液化天然ガス(LNG)を運搬するタンカー (写真:AP/アフロ)

ロシアのサハリン2から液化天然ガス(LNG)を運搬するタンカー (写真:AP/アフロ)

 ウクライナは8月末から本格的に開始した反攻で、ロシア占領下にあった北東部のハルキウ州の広域を奪還することに成功した。疲弊し士気の落ちるロシア軍に対し、この勝利はウクライナ軍を鼓舞し、戦況での転換期になる可能性も出ていると報じられていた。

 しかし、プーチン大統領は、戦争を冬まで長引かせ、エネルギー危機や社会的な不満が欧州連合(EU)内や欧米間に分断を引き起こすこと画策している。そのため、9月21日、プーチン大統領は国民向けのテレビ演説で、ウクライナでの特別軍事作戦に関し、予備役など国民を部分的に動員することを発表した。

 これまでロシアはウクライナ侵攻を限定的な軍事作戦と位置づけ、予備役の導入が可能な動員令は出さなかった。プーチン大統領は、西側諸国が示すロシア領土への脅威に対応できる多くの武器があることを訴え、核兵器による報復措置をちらつかせるなど、強硬姿勢を示し紛争の大規模なエスカレーションを図っている。

 これは侵攻開始から7カ月目に入り、ロシア国民及び経済を戦時下に置くものである。ただロシアは西側諸国が発動した厳格な経済制裁下でも、当面、戦費に困ることはない。ロシアのエネルギー輸出に対する制裁は、期待された効果を出しておらず、ロシア産石油の輸出量は増え、ガス価格の高騰でむしろ輸出収入は拡大しているためである。

 フィンランドに拠点を置くシンクタンクCREAの推計によれば、エネルギー価格高騰の恩恵により、ロシアの化石燃料(石油、ガスおよび石炭)の輸出収入は、侵攻開始後の6カ月(2月24日~8月24日)で1580億ユーロ(約21兆円)までに膨れ上がっている。同推計によると、侵攻の費用は約964億ユーロ(約13兆円)とされるため、輸出収益はこれを大幅に上回っている。

 皮肉なことに最大の輸入国(851億ユーロ)はEUであり、これに中国の349億ユーロが続く。ロシアはEUへのガス輸出量を75%も削減したにもかかわらず、EUは価格高騰によって昨年とほぼ同額の代金をロシアに支払っている計算になる。一方、ロシア産原油を廉価に輸入できるインドは輸入量を大幅に増やし、トルコに次ぎ輸入代金支払いの第4位につけている。

背に腹は代えられず、欧州ではエネ政策のUターンも

 ロシアは西側諸国からの制裁に対抗して、ガス供給量の操作を戦術として利用しているのは明らかであり、欧州当局は警戒を強めている。9月2日には、ロシアからドイツへの主要ガス供給経路であった「ノルドストリーム1」パイプラインの無期限稼働停止が発表された。

 ロシアからのガス輸入に強く依存しているドイツでは、(今回のパイプライン停止を受けて)この冬にはガス緊急計画がレベル3(緊急)となり、ガスの配給制が導入されることは不可避との見方が強まっている。配給制となれば、一般家庭や病院、発電など特定産業への配給が優先されるが、他のセクターへの配給は削減されることになり、経済への打撃は必至である。

 またドイツでは、低炭素社会への移行に向けたエネルギー政策を一時的に逆行させる、いわばUターンのような措置が増えている。9月5日、ドイツのハーベック経済相は2022年末に予定されていた原発稼働停止の延期を発表した。ドイツは東日本大震災での原発事故をきっかけに、脱原発の方針を決定し、その後は原発の閉鎖と解体を着々と進めていた。

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