家電製品を買い替える時に、販売店を回ったりネットで調べたりして、少しでも安い価格で買えると、喜びもひとしお!ですよね。こうした買い方が、大きく変わるかも知れません。パナソニックが、販売店で値下げを行わない売り方を拡大しているのです。いったいどういうこと?電機業界担当の嶋井記者教えて。
値引きしないで販売するって、どういうことですか?
そもそも家電製品に限らず、商品の「価格」は販売店が自由に決められるのが原則で、値引き販売による競争が行われています。
こうした中、パナソニックは、販売店に対して一部の製品を対象に価格を指定する取り引き方法を、今年度から本格的に導入することになったんです。
嶋井記者
そうすると、どこの店でも価格は同じになるのでしょうか?
はい。対象となる製品は、家電量販店でも街の電器店でも、さらにはネット販売でも、どこでも同じ価格で売られることになります。
会社では、この方法を2020年から段階的に導入していて、去年の時点で国内販売の8%になっていましたが、これを今年度中に20%まで拡大する目標を掲げています。
嶋井記者
メーカー側が価格を決めて販売店に守らせるというのは、法律違反にならないんですか?
今回の場合、売れ残った製品は、メーカー側が引き取ることになっていて、販売店側が在庫リスクを負うことはありません。
このため、パナソニックでは、独占禁止法の「販売価格の拘束」には当たらないとしています。
嶋井記者
どんな製品が対象になるんですか?
ドライヤーなどの美容家電、それに洗濯機や冷蔵庫、炊飯器などのジャンルのうち、一部の製品です。
6日に発表され、11月から販売が始まるこちらの壁掛けテレビも、その1つです。
家電業界は、激しい販売競争が繰り広げられています。パナソニックとしては、他社に真似できない機能や性能を持つ製品、つまり価格だけでなく品質で勝負できる製品を今回の販売方法の対象にした、と言えそうです。
嶋井記者
そもそもなんで、値引きをしない売り方を始めたのですか?
販売店に行くと、いろいろなメーカーから1年中、新製品が出されて売られているイメージがありますよね。
新製品の販売から一定期間がたつと価格は下落していきます。
このため、メーカー側はほぼ1年ごとに新たな機能を追加した新製品を投入することで、価格を維持しようとしているんです。
嶋井記者
それは大変そうです。
そうなんです。そして、このサイクルが、メーカー側を疲弊させているという側面もあります。
最近は新製品のサイクルがどんどん短くなっていて、中には半年後に発売された新製品で少ししか機能が変わらないものもあります。
パナソニックでは、今回の取り引きによって、製品サイクルをこれまでよりも長くし、より消費者のニーズにあった製品の開発を進めるねらいがあるとしています。
嶋井記者
でも、値引きしてもらえないのは、ちょっと残念な気もします。
家電量販店を訪れた方に聞くと、さまざまな声が聞かれました。
(30代の女性)「何軒か回って安い店を探すこともあります。値引きしてもらえたほうが助かるので困ります」
(60代の男性)「新製品が次々と出て型落ちして値段が下がることばかりです。機能性だけでなく、消費者に寄り添った商品開発をしてほしい。価格が安定してしっかりした製品だけにしたほうがすっきりすると思う」
(60代の女性)「本当にいいものでどこでも同じ値段であれば、アフターサービスがいい店を選ぶと思う」
嶋井記者
この販売方法、ほかの家電メーカーにも広がるのでしょうか。
取材したメーカーからは「まだ様子見をしている」という声も聞かれ、ほかのメーカーにも広がっていくかどうかは、今の時点ではわからないのが現状です。
嶋井記者
値引き販売ができなくなると、販売店は厳しくなるんじゃないですか?
値引きという集客の手段が奪われるので、確かにそういう面もあります。
ただ、指定された価格で売れれば店側も利益を確保できますし、値下げに頼らない、サービス面での競争にもつながるので、チャンスになるかもしれないという声もあります。
値引きをしない売り方が、販売店やほかの家電メーカーの今後の戦略にどのような影響を与えるのかも今後の注目ポイントになりそうです。
嶋井記者
パナソニック 値引きせず価格指定 家電製品販売拡大 詳しく解説|サクサク経済Q&A|NHK - nhk.or.jp
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