高価格帯シャンプーのカテゴリを開拓したI-neの「ボタニスト」「YOLU」(左から2番目、3番目)など新興ブランドのシャンプーが人気だ(記者撮影)
「ボタニスト」「アンドハニー」「エイトザタラソ」……。12月初旬、都内にあるドラッグストアのヘアケア売り場をのぞいてみると、目線の高さの目立つ棚には、新興メーカーのシャンプーがずらりと並んでいた。価格は1500円程度の高価格帯がほとんど。かつて一世を風靡した資生堂の「ツバキ」や、花王の主力製品である「メリット」は、端のほうに追いやられている。
実は最近のヘアケア市場では、多数の新興ブランドが台頭し、大手のシェアを奪っている状況なのだ。
「ボタニスト」を持つI-neが2位に浮上
代表例が、2020年に新規上場したI-ne(アイエヌイー)だ。1500円程度の高価格帯シャンプー「ボタニスト」を軸にヘアケア市場で企業別シェア2位に躍り出た(2022年9月単月、I-ne調べ)。「ボタニスト」はサロン向け製品を開発するヘアケア研究所と共同開発した商品で、約30万種の植物から厳選された成分が配合されている。
イギリスの調査会社であるユーロモニターの調査によると、花王の主力製品の1つである「メリット」のシャンプー市場でのブランド別シェアは2019年の5.3%から2021年には4.7%へ低下、対してI-neの「ボタニスト」は同期間で3.9%から5.0%に上昇し、シェアは逆転している。
I-neがシェアを伸ばすことができた理由は2つ。マーケティング力と商品開発力だ。
「ボタニスト」発売当初は、「実績がなければ棚に置くことはできない」とドラッグストアでの展開は断られたという。実力の見えない新規ブランドを導入することは、ドラッグストアにとってリスクが高いためだ。
そこでI-neはECから攻めた。
I-neのマーケティング本部長である藤岡礼記氏は「楽天の黎明期から付き合いがあり、楽天市場のランキングロジックなどは把握していた」と語る。独自のマーケティング手法を活かし「ボタニスト」で楽天市場のランキング上位を勝ち取った。
商品の品質がリピートを呼び、次に展開したバラエティショップのプラザでも続けて大ヒット。実績が積み上がり、ドラッグストアにも認められたという流れだ。
初めこそ配荷に慎重なドラッグストアだったが、実際に高価格帯の「ボタニスト」が売れるとなれば話は変わってくる。というのも、従来のシャンプー市場は500円程度の商品が主流で、小売店側には利益が出にくい構造だった。
高価格帯シャンプー下克上、焦る花王の次の一手 - 東洋経済オンライン
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