これは、過去のインフレを調べるとわかることです。おおよそインフレ波には3波あり、その途中にはデフレ波が2波ある点から、この先の経済動向を予想することが可能です。
参照:世界の過去のインフレに学ぶ。どんな物件ならインフレに対抗できるのか?
■ アメリカ、中国で不動産価格が下落している
2023年初頭はそんな意味で、インフレの途中にあたるデフレ第1波の影響が出てきそうです。具体的な根拠を示します。
1)原油や天然ガス等の調整が進んでいる
ロシアのウクライナ侵攻前より、原油や天然ガスの価格下落が進んでいます。2022年12月末のWTI原油価格は1バレル約80ドル前後で、戦争開始前後の1バレル120ドルがピーク。2022年後半はずっと下落基調でした。
2)不動産の在庫量が増加傾向にある
例えば首都圏の中古マンション在庫は、2022年を通しての急増が顕著で、特に東京都下や神奈川県、千葉県では前年同月比3割以上の成約数減少が見られます。在庫数も毎月増加しています。
3)黒田日銀総裁が実質的な利上げ
イールドカーブコントロールの維持が難しい状況に至っています。多少の長期金利における変動幅許容でも、円高が進みました。今後、世界的な金利に連動して上昇傾向になりそうです。
上記のうち、一番深刻なのは3の実質的な利上げについてです。日本の公的債務はGDP比168%にも達しています。中には、対外債務がかなり少ないので全く問題ないという議論もあります。
親(政府)が借金ばかりでも、子供( 民間 )が預貯金や対外資産を豊富に所有しているので、政府と民間を同じ一家とみなせば、トータルでは資産超過になるので問題ないというわけです。
しかし、外国からみたらそうでも、国内で考えた場合は異なります。大増税やインフレによる紙幣減価で、実質的に民間が( 終戦直後に課された財産税のような形式を取らずとも )、政府の尻拭いをすることもありえるからです。
その場合は、民間の窮乏は今後かなり進む事になるのでしょう。
「 では、生活防衛や資産構築の為にも、金利が上がる前に借入して投資用物件を購入した方が良いのでは? 」という意見が聞こえてきそうです。
これについては、先に金利が上昇した米国・中国の不動産価格がどうなっているのかを検証した方が良いと思います。まず米国についてですが、金利上昇を受けて資産価格下落が進んでいます。
最近の不動産価格でいうと、ラスベガスやフェニックス、テキサス、サンフランシスコやシアトルのように人気がある都市部でも、10%〜20%近い下落が起きています。
依然上昇を継続している都市もありますが、米国における有力なデベロッパーの破綻が続出している傾向から、今後全般として弱含む可能性が高いのは否めません。
米国FFレートが4%を超えつつあります。今まで年利5%で販売されていた投資物件は相当割り引かないと、例えば年利6%や7%にしないと売れていかないのは当然です。まだ好転は難しいように思われます。
中国も2021年7月に前月比ベースで不動産価格がマイナスに転じ、バブル崩壊は継続中です。米国同様、デベロッパーの資金繰りは極度に悪化していますし、今までのようにシャドーバンキング等の資金を回す事も困難になりつつあります。
将棋で言うところの「 詰み 」に近い状況ですので、中国におけるバブル崩壊の本格化は避けられないように思います。
■ リスクの高い時期に借金して平凡な物件を買う理由がわからない
日本にも米中の影響が波及してくる可能性を鑑みるに、私は東京で大借金を以って投資を進める事については消極的です。
資本力にかなりゆとりがあれば別かもしれませんが、普通のサラリーマンの方は、リスクが大きい事を承知された上で慎重に吟味の上、進めた方が良いと思います。
「 あなたが言うほど、借入リスクはないのでは? 借入したからこそメガ大家やギガ大家が増加したわけでしょう。借入をむやみに怖がらなくても良いと思いますよ 」
過去に、そんな話をされた事も多くあります。そういう時は、次のように答えています。
「 時期によるのでは。リスクの高い時期にあえて平凡な物件を借入してまで買う意義が私には解からないのです。信じられないくらい安くて需要が堅い物件が出てくれば、借入して買ったら良いと思うのですが 」
投資用不動産を保有すると、例えば埋まる迄1年かかる事もありますし、倍近くに高騰したリフォーム代を支払わなければならない事もあります。
埋まるけれど、年々家賃をかなりのペースで引き下げる必要性がある事もあります。自死や病死で室内が大変な状況になり、損失がかなり出る事もあります。これらは全て私が実際に体験した事です。
■ 過去にコラムに書いた内容はその後、どうなったか
私が当コラムで過去書いてきた内容を、良い機会ですから振り返ってみたいと思います。
1)中国や米国等で不動産等各種バブルが崩壊していく
⇒コロナ直前に書きました。概ねこの傾向になったといえそうです。
2)JR山手線沿線等の利便性が高い土地は価格が安定する
⇒コロナ禍を経ても、価格は上昇傾向でした。しかしさすがに今後は金利上昇傾向を受けて、弱含みそうです。
3)資源株やバリュー株は買い頃。不動産より、むしろ株式が良さそう
⇒伊勢化学、K&Oエナジー、住友石炭、広済堂( 焼き場 )等、参考に上げた銘柄には2倍超になったものが多くありました。
4)ドル円は2022年末、110円〜120円になりそう
⇒黒田総裁の利上げが遅れ、予想は外れています。米国株式下落も相まって、2023年は上記の為替になり得るように思います。
5)収益不動産価格は、空室増加や換金売りを受けて下落傾向に
⇒ワンルームや店舗等の空室率悪化は顕著ですが、黒田総裁の利上げがなかったこと等から価格は堅調でした。ただし、今後は米中のリセッション入りや日本の金利上昇傾向を受けて、軟調に向かうのではないでしょうか。
6)GAFAMのようなハイテク株は割高
⇒2021年にこれを書きましたが、2022年に暴落しました。
7)銀は割安感がある
⇒銀の価格は現在も堅調です。
このような結果となりました。上記は適当に書いているのではなく、私自身が自分で分析をして、自分で投資ポジションを取っている内容を公開したものです。
私は評論家ではなく投資家ですから、正直に書いて自分で正しいと思ったポジションを取る事で、投資活動を進めています。今後も市況を分析してポジションを取り、コラムで公開させていただきます。
皆様にとっても素晴らしい2023年になりますよう願っております。
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