日本産業パートナーズらによる買収提案で東芝の混乱は収まるのか。予断の許さない展開は続きそうだ(写真:PIXTA)
「本公開買い付けに対して賛同の意見を表明するものの、現時点において、応募を推奨することまではしないことを決議いたしました」。東芝が開示したTOB(株式公開買い付け)に対する意見は、いまだ不透明感の強いものだった。
3月23日、東芝は日本産業パートナーズ(JIP)率いる企業連合からの買収提案を受け入れることを決めた。買収目的会社にはJIPのファンドのほかに、オリックスやロームなど国内の事業会社17社、国内金融機関6社などが出資している。
TOB価格は1株4620円で、総額は1兆9987億円となっている。海外の競争法上の手続きなどに時間を要することから、TOBの開始は7月下旬になる見通しだ。買収が成立すれば、東芝は非公開化されることになる。
「推奨」は見送り、あらためて判断
ところが、このまますんなりと話が進むとは限らない。冒頭の意見から分かるように、東芝側のスタンスが、現時点では明確といえないからだ。
今回東芝は、JIP案に対し賛同は表明したが、応募の推奨は見送った。実際に買い付けが開始されるまでの間に、あらためて応募を推奨するかどうかを検討し、決議するとしている。
TOBに対する意見は一般的に2つの要素に分かれている。対象企業にとって利益になるかという観点から賛成や反対を示すものと、株主にとって利益になるかという観点から応募を推奨するかを示すものだ。TOBの成立には3分の2以上の応募が必要になる。そのため、東芝が応募を推奨するかどうかは大きな焦点のひとつだ。
なぜ、このような曖昧な意見にならざるを得なかったのか。最も大きい要因は買収の価格だ。
2022年9月30日にJIPが東芝に提案した価格は1株5200円~5500円。JIPが優先交渉権を得て、11月7日に再提案した時の価格は1株5200円だった。意見表明の中では、この金額でも東芝にとって「満足できる水準ではなく」とされており、公開買付価格の引き上げについての協議が続けられていたという。それをさらに下回る4620円では納得はしづらいだろう。
東芝買収価格は割安か。「賛同」でも消えない懸念 - 東洋経済オンライン
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