酷暑に見舞われている欧州では、冬場が凍えるような寒さになるといった懸念は非現実的に思えるかもしれないが、トレーダーやストラテジストは先週、欧州大陸の脆弱(ぜいじゃく)なエネルギー安全保障と債券市場のリスクを思い起こさせられた。
天然ガスのスポット価格は、オーストラリアでのストライキ懸念を受け、1日で約30%急上昇した。
豪州ガス施設でストなら供給10%途絶の恐れ-新たな価格ショックも
INGグループとラボバンク、サクソバンクは、エネルギー価格の再上昇を背景に欧州中央銀行(ECB)がタカ派的姿勢を取ることに備えるよう推奨。ECB当局者は長期のインフレ期待が一段と高まることに歯止めを掛けようとするだろうと、これら金融機関は指摘した。
INGのシニア金利ストラテジスト、ベンヤミン・シュレーダー氏は「突如として、一部のインフレ警報が再び鳴り響いている」と指摘。「インフレはこのところ落ち着いてきていたが、最近の天然ガス価格変動は供給混乱のリスクが残っていることを浮き彫りにした」と述べた。
厳冬に備えた欧州の供給は潤沢だが、エネルギー価格が高騰したことで市場の長期インフレ期待の指標は先週、2010年以来の高水準を試す動きとなった。こうした状況ではECBが引き締めサイクル終了を正当化するのは困難になると、市場関係者はみている。
ラボバンクもエネルギー価格が一段と上昇するリスクを踏まえると、ECBはインフレ対応で「さらなる決意」を示す必要が生じ得ると指摘。
同行シニア金利ストラテジストのリン・グラハムテイラー氏は「エネルギーはECBにとって真に重要な核心部分だ」と述べた。
サクソバンクのシニア債券ストラテジスト、アルテア・スピノッツィ氏も「エネルギーはインフレを高止まりさせ、ECBの物価目標を上回らせる要素だ」と説明。「これから冬がやってきて天然ガスの需要が高まる」と述べた。
原題: Bond Traders Fear ECB Hawks as Energy Jitters Return to Europe(抜粋)
債券トレーダー、ECBの出方を警戒-エネルギー価格再び急騰の現実 - ブルームバーグ
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