食品コストの高騰が続く。外食業界などで共通の課題となるのは、その価格転嫁をどう進めるかだ。実は値上げは道半ばで、すでに需要喚起を図る値下げ戦略も見られる。2024年、食を巡る難題は尽きない。
(写真=stokkete/stock.adobe.com)
まずデータを確認しよう。総務省によると2023年9月、「食料」の物価変動率は前年同月比プラス9%だった。第1次石油ショックの影響が残っていた1976年9月以来、47年ぶりの水準だ。帝国データバンクによると2023年の食品値上げは10月までの判明分で累計3万2189品目と、前年比25%多い。
足元の為替相場は一時1ドル151円超の円安となり、大量の食品原料を輸入に頼る日本には厳しい環境が続く。実は原産地でも価格は高騰している。米国では干ばつが影響し、肉用牛の先物価格が9月に過去最高値圏となった。
エンゲル係数は約32%が壁
しかし元来、日本は欧米より価格転嫁に時間がかかることが多い。まだコストの増加分を製品価格に転嫁しきれず「利幅の回復はこれから」という企業が少なくない。ところがそのもくろみにも暗雲が垂れ込めてきた。イオンは9月から一部のカップ麺など「厳選31品目」で、何と値下げに踏み切った。複数の生活協同組合も牛乳やパンを値下げした。
食品業界が苦悩するのは、日本全体の賃上げがインフレに追いついていないからだ。物価上昇の影響を除いた「実質賃金」は、9月まで18カ月連続で前年同月比マイナスとなっている。
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物価上昇9%、それでも苦渋の価格戦略:日経ビジネス電子版 - 日経ビジネスオンライン
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