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Thursday, December 28, 2023

低価格なのに性能はプラス2万円クラス、Xiaomiロボット掃除機の満足度が高い【家電レビュー】 - 家電 Watch

2万円台でありながらモップがけまでできるというXiaomiのロボット掃除機「S10」を試してみた

筆者宅ではロボット掃除機の導入は早く、最初にシンプルな低価格モデルを購入したのはもう10年以上前になるだろうか。これまで4台を買い換え、使ってきた。

低価格モデルにはマッピング機能などはなく、スタートするととにかく何かにぶつかるまで走り続ける。ぶつかったらランダムに方向を変えてまた一直線に走るの繰り返しだ。こうしてバッテリーが無くなるまでランダム走行し、結果的には床全体を網羅するというものだが、床が散らかっているとその散乱物をさらに拡散してしまったり、ケーブルに絡まって身動きが取れなくなったりもする。

マッピング機能が付いた中級機は、だいたい4万円クラスである。これぐらいになると、部屋ごとにエリアを区切って掃除できたり、モップで水拭きができる機能が付くようになる。

さらに10万円に近づく高級機になると、今度はステーション側が機能強化され、集めたゴミを吸い出してくれたり、モップがけ用の水を補充してくれたりするようになる。今のロボット掃除機を価格帯で分類すると、だいたいこんな感じになると思う。

中国メーカーのXiaomi(シャオミ)は、9月に行なった発表会でスマートフォン以外にも複数のスマート家電を発表したが、その中にロボット掃除機「S10」があった。店頭予想価格は24,800円ということで、いわゆる低価格ロボット掃除機レンジだが、マッピング機能も付いてモップがけもできるという。

これはぜひ試してみなければなるまい、ということで、早速評価機をお借りした。

アプリでかなり細かいコントロールができる

アプリは「Mi Home」というXiaomiのスマートホーム製品全般をコントロールできるものを使用する。初回運転時は清掃せず、部屋のマッピングを行なう。全体がマッピングされたら、手動で部屋を区切ることもできる。

初回はマッピングのみ行なう

清掃パターンにはノーマルとカスタムがある。ノーマルでは、掃除機、掃除機+モップ、モップの3モードが使用できる。モップのみのモードがあるのもポイントが高い。吸引はサイレントからターボまで4段階で選択できる。モップへの給水量も3段階でセットできる。

豊富な清掃パターン

カスタムでは、この設定を部屋ごとに変更できる。また2回掃除するといったオプションも設定できるので、サイレントで動かしつつ2回清掃、といった組み合わせも可能だ。

カスタムでは部屋ごとに清掃パターンが変えられる

清掃中は上部のレーザー距離センサーが中でぐるぐる回転し、常にマップと実際の距離を照合している。他の掃除機も回転しているのかもしれないが、センサーがカバーで隠れているものが多く、これまでは確認できなかった。まあこうやって回転しているので、センサー位置が前でも後ろでも関係ないということだろう。

清掃動作としては、サイドブラシが右側にしかないこともあり、まずは左回りで部屋の外周を掃除したのち、その内側をS字型で走行しながら埋めていくというパターン。サイドブラシには片側タイプと両側タイプの2パターンがあり、どちらがいいのか意見が分かれるところだが、清掃のメインは吸引とメインブラシの掻き込みなので、それほど影響はないという印象を持っている。むしろそれによって走行パターンが変わる、というだけのことだろう。床に這っているケーブル類の巻き込みに関しては、片側サイドブラシのほうがトラブル遭遇率が下がるように思える。

先に外周を掃除したのち、中をS字状に埋めていく

正面の赤外線対物センサーも優秀で、バンパーが当たるまで突進するといったことはない。これはメーカーの性格も関係すると思うのだが、中には物体を認識しても押せるものは押しのけて掃除する、という考え方の掃除機もある。このタイプだと結構部屋の中が荒らされるので、倒されると困るようなものは事前に退けておく必要がある。

一方本機は物があるとわかっている場合には無理に突撃しないし、脚が多くて行けそうにないテーブルの下などに無理矢理突入して出られなくなるといったこともない。一方スリッパなど平たいものは認識できず、押して玄関の土間に落としてしまうことはある。ただ性格的には大人しいほうなので、無人で動かしていても安心できる。

押せば動くものも、無理に押さない
脚が多い場所も無理に突撃しない

動作音だが、標準では吸引音よりもメインブラシが回転する「ガー」という音の方が大きい。吸引力を上げていくと、吸い込みの「ビュワー」という音の方が大きくなる。一方サイレントモードにしてもメインブラシの回転音は小さくならないので、全体の動作音自体は標準とそれほど変わらないように思える。

吸引力が強いこともあり、かなりのゴミ収集力がある。筆者宅は3LDKで、そのうち2LDKぶんを掃除させてみたが、ネコを飼っていることもあり、毎日清掃しても1回でかなりの抜け毛が吸えている。3日に1度ぐらいはゴミ捨てしないといけない勢いだ。

ゴミを捨てる際はフィルターを取り外して捨てるわけだが、ヒンジ付きフィルターの場合はフィルターがプランプランして邪魔な時がある。本機のように完全に取り外せた方が、ゴミは捨てやすい。またこのフィルターは水洗いもできるので、ゴミ捨てのついでに洗っとくか、という気になる。

モップ清掃は軽め。ドック帰還率はかなり高い

続いてモップ清掃も試してみた。事前にモップパッドを濡らしておかないといけないのが面倒ではあるが、どうせウォータータンクに水を入れなければならないので、ついでにやれば済む。

ウォータータンクは、ダストコンパートメントと一体化しているので、容積は小さい。水を入れて測ったところ、150mlしか入らないようだ。コップ1杯弱といったところである。したがってほとんどの場合、1回モップがけすればタンクは空になるだろう。とはいえ、コップ1杯の水で床全体のモップがけができるのだから、節水効率は高い。

マップにはモップがけ禁止エリアも設定できるので、カーペットやラグが敷いてある部分は清掃しないようにできる。

モップ禁止ゾーンやバーチャルウォールも使用可能

モップがけの効果だが、それほど強力というわけではない。軽く拭いておきました、という感じだ。モップパッドは元々グレーで汚れが目立たないこともあるが、洗ってもそれほど汚れを拭き取った感は実感できなかった。

モップパッドはゴムベルトとベルクロで固定される

高級モデルになると、モップに自重をかけて押しつけたり、モップを振動させて擦り拭きができたりするが、本機にはそこまでの機能はない。小さいお子さんがいて食べ物やジュースをよくこぼすというご家庭では、もう少し水拭きが強力なモデルを検討した方がいいだろう。

モップがけのあとは、ドックに戻った後モップパッドを取り外して洗うようアナウンスされる。これを怠ると、濡れたモップパッドが床にくっついたままになるので、ドックが置いてある床がふやけてしまう。

他社モデルでは、モップパッドが床に長時間触れないよう、ドックの下にベロのようなものが出ていて受け皿になっているものも多い。小まめに外すのが面倒なら、薄い下敷きのようなものをドックの前に敷いて水受けにするといいだろう。

特筆しておきたいのは、ドックへの帰還成功率の高さである。低価格モデルではうまく帰還できず、帰宅すると途中で力尽きた状態で発見されるパターンが結構あるのだが、本機の場合はマップ情報に加えてドック側から照射される赤外線をセンシングしながら正面向きに位置を微調整しながら直進し、半回転してバックでドッキングする。

ドック帰還率はかなり高い

家電ブランドとして注目したいXiaomi

Xiaomi S10は、その性能からすれば4万円から6万円ぐらいの中級機クラスの機能を備えている。それで低価格モデル並みの価格で買えるのだから、初めて導入する方や低価格モデルからの買い換えを検討している方には、満足度は高いだろう。

一般的な中級機と比べてのコストダウン箇所は、

  1. ダストコンパートメントとウォータータンクが一体
  2. ウォータータンクの容量が小さい
  3. モップの拭き取り力が若干弱い
  4. 充電ステーション側にほぼ機能がない

といったところだろうか。とはいえどれも運用でどうにでもなる部分であり、致命的な欠点ではない。またモップがけのみのモードもあり、このときはメインブラシが回転しないので、かなり静かである。

Xiaomiはこれまでスマートフォンやスマートウォッチなどに特化して日本で販売していた印象だが、この秋からはスマート家電全般を販売していくようだ。昨今は円安の影響で海外製品の値上がりが厳しくなってきているところだが、S10は家電ブランドとしてもロボット掃除機としても後発になるため、さらに戦略的な価格で日本市場に参入してきたということだろう。

Xaomiはすでにヨーロッパでは低価格ながら優秀な家電ブランドとしての認知も高まっており、いよいよそれが日本上陸、というわけである。その第一陣として、S10は十分に納得できる製品だ。

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