総合アパレルが相次いで高価格ブランドを開発している。背景にあるのは主力販路である百貨店からの要請。上質な物を求める客が増えているからだ。アパレル側にとってはブランドのポートフォリオで空いているハイエンドゾーンを埋めるためでもある。素材や縫製、シルエットに加え、販売サービスも絡めながら、値段が通るブランド運営に挑む。
イトキンは10年ぶりに新ブランド「オーヴィル」を今春、デビューさせる。同社にとっては最も高い価格帯。フィールズインターナショナル(ワールド)の「アンタイトル」から派生した「オブリオ」も最も高い。オンワード樫山も「23区」の派生の位置付けで「エステータ」を昨秋、発売している。ファッション好きの富裕層向けがターゲットだ。
つなぐ役割に期待
総合アパレルの主力販路の一つである百貨店では円安もありラグジュアリーブランドが高騰、婦人服売り場との価格乖離(かいり)が広がっている。新ブランドはその間のつなぎ役として期待される。
実際、高価格帯の日本ブランドを集積した百貨店の売り上げは好調で、ラグジュアリーブランドの得意客の買い回りが目立つという。「お客様はラグジュアリーブランドだけでなく様々なファッションを探しているはず」(ワールド)。アパレルにとっては高価格だが、富裕層には価格のこなれた上質な普段着になる。
スモールスタート
もっとも、触ったことのない市場だけに各社とも出店には慎重だ。かつてのように出店を重ね事業拡大を狙うやり方は取らず、ECサイトと期間限定店の開設で客の動向を探る。「市場規模は限定的。競争は激しく出店の拡大は容易ではない」(イトキン)との見方も。常設の出店先は百貨店に限らず、都心型商業施設も選択肢になる。期間限定店の出店を繰り返し、適切な場所を探る。
スモールスタートのブランド育成はかつてとは様変わりだが、期間限定店などで丁寧に消費者ニーズを探り、企画も微調整しながら、じっくりブランドを育成する。ハイエンドなブランドにひけを取らない価値と価格のバランスを実現し、タグを見ずに物で判断する高い審美眼を持つ大人女性を捕まえることが出来るのか。各社の挑戦が始まった。
総合アパレル 高価格ブランドで挑む 「これなら通る」価値を追求 - 繊研新聞
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