29日の米株式相場は反発。個人消費支出(PCE)価格指数が予想通りだったため、インフレ上振れを警戒していた市場に一定の安堵(あんど)感をもたらし、買いが優勢になった。
FRBが重視のPCEコア価格指数、前月比での伸びが1年で最大 (3)
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5096.27 | 26.51 | 0.52% |
ダウ工業株30種平均 | 38996.39 | 47.37 | 0.12% |
ナスダック総合指数 | 16091.92 | 144.18 | 0.90% |
PCEデータは早ければ6月にも利下げが実施されるとの観測を強め、S&P500種株価指数やナスダック総合指数、ナスダック100指数が最高値を更新した。PCE価格指数はインフレ目標値の2%を上回っており、利下げに対して慎重姿勢で臨む金融当局の判断の正しさを裏付ける結果となったが、大幅なインフレ上昇に対する警戒を和らげるのに寄与した。
LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏はPCE価格指数について、2024年に利下げを開始するのかどうかではなく、「いつ」利下げに転じるのかという議論の復活につながると語った。
S&P500種は2024年に入って14回目の最高値更新。月間では4カ月連続で上昇した。ナスダック100指数は約1%上昇。エヌビディアが大型株の上昇をけん引した。アップルは180ドルの主要テクニカル支持線を割り込む場面があった。アドバンスト・マイクロ・デバイセズは時価総額が3000億ドルを突破した。
エバーコアのクリシュナ・グハ氏はPCE統計について、インフレ動向に関する「新たな悪いニュースはない」と指摘。ハリス・フィナンシャル・グループのジェイミー・コックス氏は、物価の再加速に関する懸念は「行き過ぎ」だと述べた。モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、金融当局が高金利を長期化させるのではないかと考え始めていたトレーダーの疑念が、このデータによって和らぐかもしれないと指摘した。
マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・ショール氏は、インフレの上振れがなかったことに安堵しているとしながらも、PCE価格指数で「粘りのある」部分が「かなり強かった」ことに注目する必要があると指摘した。
金融当局は住宅とエネルギーを除いたサービス業のインフレに特に注目している。同ベースの価格指数は前月比0.6%上昇と、2022年3月以来の大幅な伸び率となった。ポートフォリオ運用のコストが3年ぶりの大きな伸びとなったほか、宿泊費も上昇した。
米国債
米国債相場は上昇。利回りは年初来の高水準近辺から低下した。PCEデータに加え、新規失業保険申請件数が労働市場の軟化を示したことも買いを誘った。
米新規失業保険申請件数、前週比1.3万件増の21.5万件-予想21万件
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.38% | -2.8 | -0.63% |
米10年債利回り | 4.25% | -1.4 | -0.32% |
米2年債利回り | 4.62% | -1.9 | -0.40% |
米東部時間 | 16時47分 |
米金融当局者の発言も引き続き注目を集めた。
サンフランシスコ連銀の デーリー総裁は、金融政策当局者は必要に応じて利下げする用意があると述べた上で、景気の強さを考えれば利下げを急ぐ必要はないと強調した。アトランタ連銀の ボスティック総裁は自身のインフレ見通しに基づき、今夏に利下げを開始するのが適切になるだろうとの考えをあらためて示した。
外為
ニューヨーク外国為替市場では、円相場が主要通貨に対して幅広く上昇した。米経済指標を受けた米国債利回りの低下や、日銀の高田創審議委員のインフレを巡る発言が円買いを誘った。円は対ドルで一時、1ドル=149円21銭まで上昇した。
物価目標実現が「見通せる状況」、出口の検討必要-高田日銀委員 (3)
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1243.78 | 0.32 | 0.03% |
ドル/円 | ¥149.95 | -¥0.74 | -0.49% |
ユーロ/ドル | $1.0806 | -$0.0032 | -0.30% |
米東部時間 | 16時48分 |
原油
ニューヨーク原油先物相場は小幅ながら続落。ただ月間ベースでは2カ月連続の上昇となった。市場では、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による減産延長の可能性が意識されている。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は2月に3%余り上昇。プロンプトスプレッド(当限月と来限月の価格差)は月初こそ弱気のシグナルとされるコンタンゴとなっていたが、足元ではバックワーデーションが70セント台後半まで進み、目先の供給逼迫(ひっぱく)を示唆している。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比28セント(0.4%)安の1バレル=78.26ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント4月限は6セント(0.1%未満)下落の83.62ドル。
金
ニューヨーク金相場は上昇。市場予想と一致したPCE価格統計を受け、買い安心感が広がった。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「金相場は今週、巻かれたバネのような動きを見せていた。つまり上方向に跳ね上がりたいのに、PCEサプライズへの警戒が上値を抑えていた」と指摘。「結果的に数字が予想通りだったことで、金価格は上昇している」と語った。
PCE統計通過で投資家の関心は3月6日からのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による 議会証言に移った。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は12ドル(0.6%)上昇の2054.70ドルで引けた。
原題: Stocks End Month at New Highs After Inflation Data: Markets Wrap(抜粋)
Yen Holds Gains After US Data, Franc Lags Peer: Inside G-10
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【米国市況】株と国債が上昇、PCE価格指数は予想通り-150円近辺 - ブルームバーグ
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