一旦落ち着きを見せていたコーヒー豆の価格が、また高騰を始めました。
コーヒー生産大国ブラジルでの記録的な不作など様々なファクターが重なりコーヒーの価格が史上最高値を記録した2022年。ブラジルの生産も持ち直し、消費国へのコーヒー供給が安定したことでコーヒーの価格はこれまで下降を続けていましたが、ここにきてまた上昇を始めたのです。
コロンビア国内で生産されたコーヒーを買い集め、日本を含む世界中にコロンビアコーヒーを輸出しているコロンビアコーヒー生産者連合会。この団体が毎日発表しているコーヒー買取価格をコーヒー生産者は毎日欠かさずチェックしています。2022年の記録的高値が終わりを迎え、125キロあたり200万ペソを超えていた買取価格が今年は130万ペソあたりを行ったり来たりする状態が続いていました。しかし数日前から急に価格は上昇し、ここ数日は170万ペソを超える日が続いています。これほどの高値を記録したのは2023年の6月1日以来。コロンビアコーヒー生産者連合会によると、この価格の上昇にはロブスタ種コーヒーの需要と供給の乱れが関係していると言います。
ブラジルに続くコーヒー生産量を誇るベトナム。この国で主に栽培されているのはロブスタ種と呼ばれ、コロンビアで栽培されるアラビカ種とは違う市場で取引されています。コーヒーの需要が高まる中、インスタントコーヒーなどに使用されるロブスタ種供給がそれに追いついていません。更にベトナムのコーヒーは現在開花期で収穫がほとんどないため、消費国はコロンビアで主に栽培されているアラビカ種を代替品として購入します。どうやらこうしてアラビカ種の需要が高まったことにより、アラビカ種が取引されているNY市場のコーヒー先物価格が上がったということのようです。
コロンビアコーヒーの生産量は徐々に回復
長く続いたラニーニャ現象の影響でコロンビアでは乾季がない年が続き、コーヒーの生産量は2022年と2023年に大幅に落ち込みました。ようやくラニーニャ現象が終息し、今年にはいってコロンビアは生産量を少しずつ増やし始めています。市場は記録的な高値を更新しているのに、天候による不作で売るコーヒーがなかった過去2年間。ラニーニャ現象が終わったこの時期の価格の上昇は、生産者にとって儲かるチャンスと思われるかもしれませんが、現実はそう甘くはないようです。
©️YouTube - Promoción y publicidad del café de Colombia
今度は雨不足
ラニーニャ現象が終息して間もなく、今度はエルニーニョ現象が発生しました。エルニーニョ現象は雨がたくさん降るラニーニャ現象と対照的に、コロンビアでは雨が降らなくなり水不足に陥ります。
コロンビアでは四季がない代わりに雨季と乾季が3ヶ月おきに交互に起こり、それがコロンビアコーヒーの品質と安定した生産量の決め手となっているのですが、このような異常気候が起こることによってこれらに大きな悪影響を与えることになるのです。雨が降らない乾燥した土では根から栄養を吸い取ることができないたため、木は栄養不足になり実は小さくなります。また雨が降らないとコーヒーを種を食べる害虫が繁殖しやすくなるため、コロンビアが売りにしている高品質なコーヒーが作れなくなってしまうのです。コーヒーを買い取る農協は品質によって買い取り価格を決めているので、サイズが小さい虫食いのコーヒー豆は安く買い叩かれ、せっかくコーヒーの需要が高まり買取価格が高くなったとしてもこれでは生産者は恩恵を受けることはできません。
生産者の苦悩はこれだけに留まらず、世界的に起こっているインフレも大きく関係しています。パンデミックの時期から、コーヒー栽培に使われる肥料や農薬の価格、さらに人件費が大幅に上昇しました。コーヒーが高く売れる一方で生産コストがそれを上回る勢いで高騰した関係でコーヒー生産者は依然として厳しい生活を余儀なくされています。
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私がコーヒー栽培を始めた2018年のコーヒーの買取価格は125キロあたり70万ペソ程度で現在の半分以下でした。コーヒー危機と言われていた当時と比較して倍以上の価格で買い取ってもらえるにも関わらず、いまだにコーヒー危機と呼ばれる状態は続いています。買取価格が上がっても一向に改善されない生産者たちの生活。コーヒー価格と物価の上昇の追いかけっこはいつまで続くのでしょうか。
コーヒー価格 再び高騰もコロンビアでコーヒー危機が続く理由 - ニューズウィーク日本版
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