訪日外国人が増える中で、飲食店の中では価格を「日本人向け」と「外国人観光客向け」で分ける店も出始めました。皆さん、この「二重価格」どう考えますか?
オマール海老ラーメン 5500円 中国人観光客「とても安いですね」
オマール海老でダシを取った、濃厚な味噌仕立てスープ。具材はもちろん、炭火で焼いたオマール海老です。さらにエビの表面をバーナーの炎であぶり、ラーメンにのせれば完成です。
東京・築地の「オマール海老味噌ラーメン」。お値段は…5500円です。
安い!と感じる人も、もちろんいます。
中国人観光客
「とても安いですね」
Q.全部でいくら使った?
「わからない。値段を見てないから」
Q.オマール海老味噌ラーメンを頼むのは?
築地魚場 リトル築地場外 三宅修司社長
「海外の方が圧倒的に多い、ほぼ100%。海外のお客様向けに値付けをした考えはないですね、適正価格。海外の方はおいしいが一番で値段が後なのかもしれない」
街で聞こえたのは「うらやましい」の声です。
街の人
「外国人が手に色々持って買い物している姿を見て良いなって」
「お得にお買い物できるのはうらやましい」
異なる価格設定“日本人は割安”
外国人観光客には手頃な価格でも、日本人には手が出しにくくなっている現状に専門家は…。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏
「外国人が多く来れば料金的にはとれるので店の利益にはなるが、常連客を今まで通り来て欲しいと思っている店には、日本・地元に住んでいる人を対象に割引きする価格で『二重価格』にすることが起きると思う」
日本人は外国人観光客より割安に価格を設定する二重価格。
そんな価格設定を導入した飲食店「海鮮バイキング&浜焼きBBQ 玉手箱」が、4月中旬に渋谷にオープンしました。
バイキングスタイルの店内。60品の海の幸が食べ放題ということで、客のテンションは上がります。
価格は飲み放題も付いて7678円。
日本人や在日外国人はそこから1100円割り引きの6578円。
日本人客
「この価格でこれを食べられるのはヤバい、海鮮が好きだから嬉しいです」
そもそもこの二重価格をどうして設けたのでしょうか。
海鮮バイキング&浜焼きBBQ 玉手箱 米満尚悟オーナー
「昨今の円安・物価高の問題で『二重価格』は導入すべき。賛否はあると思うが、大手はできないと思い、うちみたいな中小で日本初の試みでやってみました」
試験的に始めたという二重価格。
外国人観光客からの予約も入りますが、客の9割は日本人です。
Q.「二重価格」の導入はどう思う?
男性客
「日本人としてはありがたい。豊洲とか高いので、ああいうのは行く気にならないので、安いのはありがたい」
一方、外国人観光客は…。
中国人観光客
「価格的な差別待遇があれば観光客にとっては嫌な経験になってしまうかも」
スペイン人観光客
「(二重価格は)他の国もそうだと思う。ヨーロッパでは外国人の方が少し多く払います」
外国人観光客への二重価格アリ?
小川彩佳キャスター:
二重価格は私たちも海外旅行などで経験したことはありますが、これまでは二重価格を設定される側だと思っていたのが、設定を考える国になっているという。
まず、その是非を考える前に現実を突きつけられている感覚があるんですけど…
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
落ちぶれちゃったなって感じ?
小川キャスター:
大国だったのはいつのことだったかなみたいな。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
でも、日本は「おもてなし」「安心・安全だから日本に来て」と言っていたのに、急に手のひらを返したような感じになっているのは、ちょっといただけないと個人的には思っています。
藤森祥平キャスター:
渋谷の海鮮食べ放題バイキングでは、外国人観光客に対して平日ディナーは「7678円」。日本人・及び在住の外国人には1100円引きの「6578円」。
米満オーナーは「インバウンド価格のお店ばかりになると、その町に外国人しか来なくなる。渋谷は観光客だけの町ではない」として、円安・物価高の中でトライしているということです。
慶応大法学部卒 トラウデン直美さん:
日本が円安になって、ちょっと弱っているのは受け止めつつ、二重価格を導入するのはアリなのかなと思っています。お店としても外国人に100%頼るのはリスク的にも高い。コロナみたいなことがないとも言い切れないから、地元の人に来てもらうというのも1つ重要だと思います。
住んでいる人たちが自分たちの生活圏で、どんどん物価が上がって、外国人しか来ないような町になってしまうというのは心配だと思いますね。
藤森キャスター:
日本旅館協会政策委員長 永山久徳さんは、二重価格について「“良い不公平”を検討すべき」としています。
永山さんは岡山などで旅館を経営していて、外国人観光客と日本人の客では接客の労力が違ってくるといいます。
例えば日本酒1本700円を、外国人向けに「サービスコスト」と「付加価値」を付けて1200円で販売します。さらに、おちょこ1個をお土産として持ち帰れるようにする。そうすると、おちょこは500円もしませんが、外国人は喜んで2本、3本と頼むそうです。
今のところ、こういう例をどんどん広げていくのも一つの手なのではないかと。そうすると提供する側も納得できますよね。
トラウデン直美さん:
まずは、こういう形で選べるように価格の違うものを出していくところから始めていく。いきなり、同じものなのに値段が違うとなると、日本人としてもなんかちょっとね…
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
私たちが海外に行ったとき、嫌じゃないですか?
トラウデン直美さん:
いたたまれない気持ちにもなるかもしれない。
小川キャスター:
日本人の方も選べるというサービスではあるんですね。
藤森キャスター:
そうです、皆さん選べるんですよ。
海外の例を見ると…
ハワイ・ダイヤモンドヘッド
ハワイ在住:無料 観光客:客約800円
エジプト・ピラミッド
アラブの人たち:約200円 外国人:約1800円
フランス・ルーブル美術館
欧州諸国の26歳未満など:無料 一般:約3700円
地元の人たちに対しては無料・安い価格設定で、観光客は高い設定になっています。
この辺は、何となく受け入れられているんじゃないですか?
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
これはいいと思います。これはケースが違って、オーバーツーリズムで自然環境が壊されてしまうなど、そういう危機があるのであれば、それに対して過剰な観光を規制するという意味であるとか、ルーブル美術館だったら、若者たちへの文化支援のような名目があるので、レストランの値段の付け方とは違う話だと思います。
トラウデン直美さん:
地元に住んでるのに「高くてルーブルに行けない」とかは、さすがにフランスでは起こらないと信じていますけど、そういうことにもなりかねないわけじゃないですか。
地元のものを誇っていくという意味でも、地元の人を守る優遇策みたいなのもあってもいい。地元割みたいなのは嫌な感じはしないですけどね。
小川キャスター:
日本の印象を外国の方に伺うと、真面目・誠実というのが出てきますが、二重価格の設定によって外国人観光客に「ずるい」というような感覚を持たれてしまって、日本の魅力そのものがそがれていくような感覚もあったりもして…。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
長期的には損だと思うし、日本はそもそも安くして、外国人にいっぱい来てもらってインバウンドだといってやってきたのに、急にオーバーツーリズムで、今度はむしり取ろうみたいな、あまりにも虫が良すぎるので、これだけ円安になってしまった状況をしっかり反省することから始める必要があると思います。
「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『二重価格』などについて「みんなの声」を募集しました。
Q.「二重価格」についてどう思う?
「店が自由に決めればよい」…43.8%
「極端な差でなければよい」…21.0%
「均一にすべき」…31.8%
「その他・わからない」…3.4%
※5月1日午後11時13分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは2日午前8時で終了しました。
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斎藤幸平さん
東京大学准教授。専門は経済思想、社会思想。著書『人新世の「資本論」』は累計発行部数50万部超。
トラウデン直美さん
慶応大学法学部卒
環境問題やSDGsについて積極的に発信
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