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Tuesday, June 4, 2024

FeliCa対応した低価格スマホNothing Phone(2a)を買うべきは誰か - 日経クロストレンド

一見魅力的な製品だが、果たして買って大丈夫といえるのか。製品チェックに秀でた識者が良しあしを一刀両断する。今回は、個性的な背面のライトが特徴的な英国発の低価格スマホ「Nothing Phone(2a)」を評価した。

※日経トレンディ2024年7月号の記事を再構成。

個性派スマホの「Nothing Phone(2a)」(英Nothing Technology)をテスト

個性派スマホの「Nothing Phone(2a)」(英Nothing Technology)をテスト

Nothing Phone(2a)(英Nothing Technology)

実勢価格4万9800円(税込み)
●本体サイズ・重さ/幅76.32×高さ161.74×厚さ8.55mm・190g
●プロセッサー/MediaTek Dimensity 7200 Pro(最大2.8GHz)
●メモリー/8GB
●ストレージ/128GB
●画面/6.7型有機EL(1084×2412ドット)
●リフレッシュレート/30〜120Hz
●バッテリー容量/5000mAh

 「iPhone 15」の実勢価格が12万4800円(税込み)からとなるなど、最新スマホは高根の花になりつつある。そんな中、おしゃれなデザインで実勢価格4万9800円(税込み)と買いやすいスマホ「Nothing Phone(2a)」(以下、Phone(2a))が2024年4月に発売された。

 開発元のNothing Technologyは、中国OPPO傘下のOnePlus出身であるカール・ペイ氏が20年に設立したスタートアップ企業だ。日本では22年に「Nothing Phone(1)」を、23年には高機能モデルの「同 Phone(2)」を発売。背面に透明な素材を使い、その中に埋め込んだLEDが着信音などに合わせて光る未来的なデザインで話題になった。

 今回のPhone(2a)は、従来機の下位モデルという位置付けだ。ペイ氏は、「会社を拡大する中で、異なるニーズに応える必要があった」と、低価格モデルの必要性を話す。

 一方で強化された点もある。Phone(2a)の日本版では、これまで対応していなかった「おサイフケータイ」機能を備え、モバイルSuicaなどの各種電子マネーを利用可能になった。おサイフケータイ対応はコスト増になるものの、「ビジネスとして成立させるのは大変だが、日本での数字を成り立たせるのが重要」(ペイ氏)と判断したという。

背面で光る独自LEDはタイマーなどで便利に使える

 Phone(2a)でも背面の独自LEDは健在だが、上位モデルよりは控えめになった。これまでは、背面全体にLEDが埋め込まれていたが、Phone(2a)の背面LEDは上部のカメラまわりだけ。とはいえ、背面全体が何カ所も光るのは目立ちすぎともいえるので、このぐらいが毎日の生活には取り入れやすいかもしれない。

■背面のライトが通知や撮影に役立つ

背面の3カ所にLED搭載。上位機種よりは少ない

背面の3カ所にLED搭載。上位機種よりは少ない

 この背面LEDを同社では「グリフインターフェース」と呼び、着信時に相手先に応じて違った光り方をさせるなど、様々な使い方ができる。個人的に面白いと思うのはタイマーだ。時間の設定後、本体の画面を下にして伏せておくと、光のバーが徐々に短くなっていく。画面がオフの状態でも残り時間を視覚的に捉えやすく便利そうだ。なお、背面の素材は透明だが、ガラスではなく樹脂素材になっている。

独自のタイマーアプリ

独自のタイマーアプリ

■樹脂の表面仕上げ

背面はガラスでなく傷が付きにくそう

背面はガラスでなく傷が付きにくそう

 またカメラ撮影時には、グリフインターフェースのLEDをすべて光らせて、ライト代わりにもできる。フラッシュよりも光が柔らかくなり、暗所などでの撮影で便利だ。デザインに実用性を加える設計思想は、低価格モデルでも健在だった。

フラッシュより柔らかく光るライトとしても使える

フラッシュより柔らかく光るライトとしても使える

 そのカメラも低価格モデルとしてはなかなか優秀だ。夜景でもHDR(ハイダイナミックレンジ)機能が効いて、しっかり明暗差が出ている。10万円以上のスマホと比べると白飛びやノイズがやや多いが、写りは及第点といえる。

2カメラ搭載で夜景も良好

2カメラ搭載で夜景も良好

 プロセッサーは、「Dimensity 7200 Pro」を採用しており、処理能力は中価格帯モデルとしては平均的。同社がOSのカスタマイズに力を入れていることもあり、基本的な操作での応答性は高く、使いやすかった。

プロセッサー性能は必要十分

プロセッサー性能は必要十分

■明るく十分な画質

輝度が1300nitで画面の縁(ベゼル)も細い

輝度が1300nitで画面の縁(ベゼル)も細い

 一方で残念なのが、デュアルSIM対応だが「eSIM」に非対応なところ。海外渡航時に割安なローミング事業者と一時的に契約したいとき、現時点ではeSIMが必須に近い。

 日本でもeSIM対応の通信事業者は増えているので、片方はeSIMにしてほしかった。また、NTTドコモの5G通信で中心的に使われている「n79」という周波数帯をサポートしていない点も気になった。他社の端末では5G通信できる場所でも、Phone(2a)では4G接続になってしまう確率が高まる。NTTドコモ系の5G回線を使いたい人は要注意だといえる。

■eSIMに非対応

デュアルSIM対応だが物理SIMのみ

デュアルSIM対応だが物理SIMのみ

 Phone(2a)には、こうした通信まわりでの物足りなさや、本体素材のチープ感がややあるものの、5万円以下という価格なら目をつぶれる。このクラスのスマホとしては動作は軽快で、スタートアップ企業が手掛けたとは思えない完成度だ。また、ChatGPTを呼び出しやすくするウィジェットを発売後に搭載するなど、新機能の開発も速い。まだ知名度は低いが、個性的な端末が欲しい人はぜひ検討してほしい。

【結論】魅力的なライトと十分な性能 5万円スマホでは高い完成度

ケータイジャーナリスト/石野純也氏

通信技術や業界動向、スマホに詳しいジャーナリスト。出版社から独立後、フリーランスとして雑誌、新聞、ウェブなど幅広い媒体で執筆活動を行う。著書に『ケータイチルドレン』など。端末関連の共著書も多い


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