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Tuesday, July 2, 2024

クルマの価格はどう決まる? - webCG

多くの工業製品は、材料・部品代などのコストを積み上げて、そこにある一定の利益を上乗せして市場価格を決めますよね。

ところがトヨタの場合は、「こういう機能を持ったこのようなクルマは、いくらなら市場で販売できるのか?」というマーケットリサーチを徹底的に行い、想定価格を決めてから「この値段でこのクルマをつくるにはどうしたらいいのか」を考えるという“逆のアプローチ”で製品開発にあたります。

それがこの会社の成功の秘訣(ひけつ)ではありますが、各モデルの開発担当者は、おカネの話が夢に出てくるようになるほど苦労を強いられます(苦笑)。

もっとも、こうした「このクルマはいくらで買ってもらえるのか」というやり方は、やや陳腐化の傾向にあり、いまは「“ブランド価値”を買ってもらう」というビジネスに変わってきています。

ちょっと古いエピソードになりますが、かつてこんなことがありました。

国内では「トヨタ・ソアラ」として扱われた「レクサスSC」をアメリカ市場に投入した際、その完成車を見たアメリカの営業担当役員が「これはめちゃくちゃ売れて、すぐに在庫がなくなるはずだ」「いまの価格設定だと市場が混乱するんじゃないか?」などと言及し、最後にポンと、当時の日本円のレートでウン十万円も価格を上げて販売したのです。それでも、めちゃくちゃ売れまくった。

こうしたことは、スペシャルティーといわれるクルマだとあり得ます。もちろん、欧州のスーパーカーメーカーともなればずっと続いていることだし、それ相応にブランド価値を上げるための莫大(ばくだい)な投資を行ってきています。

その点、近年のレクサス車に、皆さまが乱暴と思うであろう価格設定がされるようになったのは、レクサスが長年おカネをかけてブランド戦略を続けてきて、一定の成果を挙げたという証拠なんです。そのブランド戦略に投資したぶんをいま回収しているわけです。

かつてはクルマ好きには縁遠かったトヨタのブランドイメージも、ずいぶん変わりました。「もっともうかるクルマをつくろうよ」ではなく「もっといいクルマをつくろうよ」と言ったところがミソで、モータースポーツをはじめ、社内外から「無駄」とまで評されたブランド戦略がようやく生きてきて、強気な価格設定が可能になりました。メーカーが値下げではなく値上げで勝負できるというのは、極めて大きなことといえるでしょう。

しかし、そんな価格設定ができるようになったいまでも、「だから車両開発にたっぷりコストをかけていいよ」とはならないのがトヨタです。最後にポンと価格を上げるとしたら、それはあくまで営業サイドの判断で、いまでも開発初期は、冒頭に述べたかなり厳しいコスト制限でスタートしているはずです。

一方で、新型の開発に関する役員会議では、技術サイドから「もうちょっと開発におカネを回すべきだ」「あと〇万円かけられれば理想のクルマが出来るのに」などと文句が出て、それに応じざるを得ないという面もあるでしょう。

「ビジネス上の好調が続くと、ついコスト管理が甘くなる」というのはメーカーであればよくある話。こうして浮き沈み、企業の栄枯盛衰が繰り返されるわけです。

→連載記事リスト「あの多田哲哉のクルマQ&A」

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