原油価格の過度な上昇は、世界経済の回復ペースを遅らせかねない。産油国は協調し、価格の安定に努めるべきだ。
石油輸出国機構(OPEC)に非加盟のロシアなどを加えた「OPECプラス」の協議が今月5日、決裂し、8月以降の増産について合意できなかった。
これを受けて、原油の需給が
OPECプラスは昨年5月、新型コロナウイルスの流行により原油の需要が急減したため、世界生産量の1割にあたる日量970万バレルの減産を始めた。
その後、需要の持ち直しに伴い、徐々に減産幅を縮小してきた。8月以降、どの程度供給を拡大するかが焦点となっていた。
中東最大の産油国サウジアラビアなどは、現在日量580万バレルの減産規模を12月までに段階的に380万バレルに減らすとともに、2022年4月までの減産期間を22年末に延ばす案を検討していた。
大半の国はサウジなどの案に同意したものの、増産で収入を伸ばしたいアラブ首長国連邦(UAE)が減産期間の延長に反対した。自国の生産能力と比べて、割り当てられている産油量が少ないとも主張しているという。
OPECプラスの決定は全会一致が原則となっており、合意に至らなかった。関係国は、早期に協議を再開してほしい。
対立が長期化した場合、原油価格が不安定になり、金融市場の動揺につながる恐れがある。産油国は互いに歩み寄り、混乱を回避することが重要だ。
原油だけでなく、国際的に鉄鉱石や銅などの資源価格が高騰し、企業のコストを押し上げている。コロナ禍からの回復途上にある世界経済の停滞につながれば、産油国にもマイナスが大きい。
世界的に、温室効果ガスを排出しない脱炭素の流れが強まっている。原油価格が上昇し続けると、消費国で石油以外の燃料を使う動きが広がり、原油の需要減退を加速させる可能性がある。
日本では、平均のガソリン価格が1リットルあたり150円台後半と、約2年8か月ぶりの高値水準となっている。燃料の値上がりは家計を圧迫するほか、物流業界や漁業者などの費用を増やす。
政府は、燃料高が中小企業に与える影響を注視し、必要に応じて支援策を講じてもらいたい。
原油価格上昇 世界経済の停滞招かぬように - 読売新聞
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