2021年産の新米価格が下落する見通しだ。生産者からコメの販売委託を受けた農協が、出荷時に農家に仮払いする金額の目安となる概算金は、主力品種「ひとめぼれ」が1等60キロあたり前年比3100円減の9500円。新型コロナ禍による外食需要の不振で在庫が積み上がった影響が大きく、関係者は不安を募らせる。(後藤陵平)
JA全農みやぎによると、ひとめぼれは2年連続の下落で、1万円を下回るのは豊作だった14年以来7年ぶりとなる。ササニシキは同3100円減の9600円、ブランド米「だて正夢」は同4300円減の1万円となった。
農林水産省によると、民間事業者が抱える県産うるち米の在庫量(6月末現在)は約13万5000トンを超え、昨年同月より約2万3000トン(21%)増加した。需要減少が進む「コメ離れ」に、コロナ禍が追い打ちをかけた。
宮城県石巻市の河南低温農業倉庫では、21年産米の搬入が進む中、大量の20年産米が保管されている。20年産米で埋まる市内の小規模倉庫には、新米が運び込めないところもあるという。JAいしのまき米穀課の黒沼義典課長(52)は「需要が回復する見通しが立たなければ、毎年の余りが繰り越され、米価の下落が止まらない」と嘆く。
消費者が安くコメを買える反面、収入減となる農家には厳しい状況だ。登米市迫町のコメ農家の男性(74)は「覚悟はしていたが、1万円を下回るのは予想外。農家の生活が苦しくなれば、ますます農業の担い手が減る。行政は支援策を考えてほしい」と訴えた。
宮城県は、下落に伴って収入が減り営農継続に不安を持つ農家を対象に、県内10か所に相談窓口を設置した。つなぎ資金の案内のほか、コスト低減技術の助言などを行う。受け付けは平日午前8時半~午後5時15分。問い合わせは、県農業振興課(022・211・2837)や地方振興事務所などへ。
「コメ離れ」にコロナ禍が追い打ち…「ひとめぼれ」など価格下落が止まらず - 読売新聞オンライン
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