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Monday, September 13, 2021

買いたたき防止 下請けの価格転嫁を適正に - 読売新聞

 コロナ禍の影響や資材価格の高騰で、下請け企業が苦しんでいる。増えたコストを大企業への納入価格に転嫁できる環境を、早期に整えていく必要がある。

 政府は、大企業が下請け企業に対し、著しく低い価格での納入を求める「買いたたき」を防ぐための対策の強化に乗り出した。

 そもそも買いたたきは、取引の適正化を図る下請法で禁じられているが、最近は下請け企業への圧力が強まっているという。

 経済産業省は10月、数万社を対象に取引実態に関するアンケートを行う。取引の問題点を調べる専門家の「下請Gメン」による聞き取りも拡充する。公正取引委員会も情報収集にあたる方針だ。

 政府は監視し、問題があれば迅速に是正に努めるべきである。

 コストアップは多くの分野に広がっている。特に10月からは、最低賃金が全国平均で前年度より28円高い930円となる。上げ幅は過去最大で、主に中小企業の人件費の負担が増えることになる。

 原油や銅、木材など原材料の値上がりで、企業間の取引価格を示す国内企業物価指数は8月、前年同月比で5・5%上がった。

 一方、根強いデフレ心理を反映し、身近なモノやサービスの価格である消費者物価は低迷したままで、立場の弱い中小企業へのしわ寄せが大きくなりかねない。

 経産省の聞き取り調査では、自動車のある下請け企業は、担当者がかわるたびに、合理的な理由や協議の場もなく、口頭で5~10%の値下げを求められるという。

 機械製造業では、20%ダウンの要求を断ったら、新規の仕事があまり来なくなったとの事例がある。値引きを受け入れなければ、発注先を変更すると告げられた下請け企業も目立っている。

 それらの行為は、下請法に違反する可能性があるという。

 大企業と価格交渉をする機会がないと訴える下請け企業は多い。経産省は、大企業が集まる経団連に、下請けからの値上げ交渉の申し入れに対応するよう要請した。発注側と受注側が公正に協議できる場を設けることが重要だ。

 コロナ禍の中でも、製造業を中心に業績が回復している大企業は少なくない。そうした企業は、コスト高にあえぐ下請け企業の価格引き上げに応じてもらいたい。

 最低賃金に加えて幅広い賃上げを実現し、消費を押し上げるという経済の好循環を呼ぶためにも、適正な価格転嫁で多くの企業が収益を伸ばすことが望まれる。

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