米国の「住宅危機」
米国の住宅事情はいま、どのような状況となっているのか。S&Pコアロジック ケース・シラーが7月26日に発表した5月の全米の住宅価格指数は、前年同月比19.7%上昇と、前月(4月)の20.6%上昇からようやく伸びが鈍化した状況。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのクレイグ・ラザラ氏は、価格の伸びは「非常に高い」水準から「若干減速した」と表現するものの、依然として高い伸びを示しているのが実態だ。
アルジャジーラが2022年7月13日に報じたZillowのデータによると、平均住宅価格は35万ドル(約4,774万円)と前年から20%以上も上昇した。
Zillowのエコノミスト、ニコール・バコード氏によると、急激な上昇を受け、市場では多くの人々が、その反動による価格下落を予想しているが、実際のところ価格は依然上昇傾向であり、短期での価格下落は見込めないという。
たとえば、アリゾナ州フェニックスでは、2020年3月時点の住宅平均価格は26万4,000ドル(約3,600万円)だったが、現在43万3,660ドル(約5,900万円)に増加。また、フロリダ州タンパでも住宅平均価格は、2020年3月の25万3,000ドル(約3,451万円)から40万8,997ドル(約5,579万円)と大幅に増加した。
一方、米国では金利が上昇中で、30年住宅ローン金利は、2021年1月の2.65%から現在6%に近い水準に達しており、若い世代にとって住宅購入は非常に困難となっているという。その結果、全米の住宅在庫数は7月にも過去最高を更新するなど、少しずつ供給不足が解消されつつあるとの見方も出てきている。
シリコンバレーの住宅事情
一方、ベイエリア(シリコンバレー)の住宅市場は、価格上昇にブレーキはかかりつつも、依然上昇は続くと見込まれている。Mercury Newsが2022年7月11日に伝えたCoreLogicのデータによると、ベイエリアのシングルファミリー向けの住宅価格中央値は2022年5月、136万ドル(1億8,552万円)と前年同期比で13%増加したことが判明した。
CoreLogicは、ベイエリアの住宅価格上昇率は、2023年の夏までに2桁から1桁に下がると予想している。
ベイエリアでは、4~5月にかけてサンタクララとサンマテオで住宅価格が若干の下落を記録したが、急速な下落は見込まれておらず、住宅価格はしばらく高止まりすることが予想されている。
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住宅価格の高騰、カプセルホテル型賃貸や車中泊は解決策となりうるのか? - ビジネス+IT
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