物価上昇の三つの要因
ガソリン価格が上がっています。経済産業省によると10月18日時点のレギュラーガソリンの店頭価格は1リットルあたり164.6円で、約7年ぶりの高値になりました。これは、原油の国際価格が上がっているためです。原油だけでなく、天然ガスや石炭といったエネルギー資源、銅や鉄鉱石といった鉱物資源、木材や小麦などの価格も上がっています。こうした輸入品の値上がりによって、日本の物価全体が上がり始めている感じがします。 日本は長く物価が上がらないデフレに苦しんできました。物価が上がらないということは消費する力が弱いということで、企業はあまりもうからず、賃金も上がりません。その結果、経済成長につながらず、元気のない社会になります。これではいけないと、2012年末に成立した第2次安倍政権はアベノミクスという経済政策を掲げ、「デフレ脱却」を合言葉に年率2%の物価上昇を目指してきました。軽いインフレが社会にとって一番いいという判断です。しかし、これまで一度も2%に達したことはなく、デフレ脱却は掛け声倒れになっていました。 それが今、物価が上がり始めたのだとすれば、政府や日銀の長年の悲願が達成される喜ばしい状況になってきたということでしょうか。ただ、そんな前向きな声は聞こえてきません。 それはどうしてかをまず考えましょう。今の物価上昇には要因が三つあります。一つは、コロナ禍で落ち込んだ世界経済が回復に向かう動きです。原油などの天然資源や食料などの需要が増えているのは、人々の動きが活発になってきたためです。巣ごもりをしている人は資源をあまり消費しませんが、外に出て活動を始めると、資源を多く消費するようになります。ただ、こうしたものの需要が増えても、すぐにその需要を満たすだけの増産はできません。特に原油などのエネルギー資源は脱炭素化の流れを受けて長期的には需要が減る可能性が高く、増産に向かう意欲がわかない面もあります。そのため、需要に供給が追いつかず、価格が上がります。 二つめは、世界的にモノの流れが悪くなっていることです。多くの貿易品は船で運搬されます。しかし、コロナ禍で港での荷下ろしや荷積みをする人手が不足しています。そのため港に船が滞留する時間が長くなり、需要に運搬が追いつかなくなっています。そうなると、輸送費が上がりますし、モノ自体の価値も上がって、値段が上がるのです。 三つめは、日本に限ったことですが、円安が進んでいることです。円安になると、円ベースの輸入価格が上がります。原油にしても鉱物資源にしても食料にしても輸入品が多く、円安は価格が上がる要因になります。
〈時事ニュースで好奇心!〉ガソリン価格が高騰 → 「いい物価上昇」と「悪い物価上昇」の違いを知ろう(朝日新聞EduA) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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