ガソリン価格が7年ぶりの高値。そこからお金のことを考える
日本エネルギー経済研究所石油情報センターは、2021年11月1日時点のレギュラーガソリンの店頭価格が1リットルあたり168・7円だったと発表しました。これで値上がりは9週間連続となり、約7年ぶりの高値水準が続いています。 ガソリン価格高騰。ここから「お金」という軸で考えてみると様々なことがみえてきます。 まずは生活費の圧迫が一番想像しやすいと思います。非常事態宣言もあけ、遠出の外出ニーズも増える中でのガソリン価格の高騰は、クルマなどの移動費に大きな影響を与えます。また、ガソリンの原料となる原油は、いろいろなものに形を変えて生活に使われています。例えば、ペットボトル、トレイ、レジ袋、メガネレンズ、クリーンニング用品などです。そういうものの価格の上昇にもつながり、クルマを使わない人の生活費も圧迫する可能性がでてくるのです。さらに野菜を育てるボイラーにも重油が活用されていますので、食品の値上げにもなる可能性もあります。 では、お金のトレーニング。ガソリンの価格高騰。その要因は何なのでしょうか? 答えは、原料となる原油価格の高騰です。まず、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことで、世界的に経済活動が再開。その結果として原油の需要が一気に膨らみました。さらに、火力発電の燃料として使われる天然ガスや石炭の価格が上昇し、代わりの燃料として需要が高まっているのです。 しかし、その一方で供給は抑えられている状況になっており、その需給バランスが崩れてて価格が高騰しているのです。 それではなぜ、供給が抑えられているか? ですが、理由のひとつは今年8月に石油関連の施設が多く集まるアメリカ南部を巨大ハリケーンが直撃、石油施設にも被害をもたらしたことがあげられます。さらに、原油価格が上がってきたら一般的に石油輸出国機構(OPEC)が増産を行うことが多いのですが、今回はその増産が見送られたということでさらに原油価格が上がっているという状況です。 そしてその結果、ニューヨーク市場では10月、国際的な原油価格の指標となるWTIの先物価格が、1バレル=82ドルを超え、およそ7年ぶりの高値となりました。そういう理由で、脱炭素の流れのなかでもガソリン価格は値上がりを続けているのです。 ここでクルマ移動について考えてみます。 まず、クルマを動かすための最大の原動力は今までガソリンが主流でした。それに対して近年、世界的な脱炭素の方針が加速。電気を原動力とする自動車が当たり前の世界になりつつあります。電気自動車を開発するテスラの時価総額は、Facebookを超えて約100兆円となる急成長を遂げています。 それではお金のトレーニング。ガソリン自動車と電気自動車。変わったものと変わっていないものは何でしょうか? これはビジネスや組織づくりをする上で、私もとても重要視している本質分析の考え方です。この場合、まず変わったものは原動力。時代の流れに合わせてガソリンから電気に変わっていきます。 そして変わっていないもの。それは少しでも速く、少しでもラクに移動したいと願う人間の欲求です。大昔は馬に乗って移動していましたが、その欲求はそのときから現代でも変わっていないということです。 自然の摂理にのっとっているということができます。 お金も同じです。 姿形を変えながらも、その本質はずっと変わっていません。お金の本質は、それ自体が目的になるものではなく、人生を豊かにするための道具です。その本質が自然の摂理と合致しているからこそ、長い時がたっても生き残っている人類最大の発明なのです。 それではお金のトレーニング。世界で最初にお金(貨幣)が誕生したのは、何年前のどこでしょうか? 答えは、古代メソポタミア文明。その誕生はなんと約4000年前。キリストや秦の始皇帝もまだ誕生していない、遥か昔のことです。お金も姿形は、貝殻、石、金、銀、紙、ついにはデジタルへと変わっていきました。 しかし、人類の歴史をよく見てみると、変わっていく姿形に隠された「変わっていない本質」が見えてきます。そしてその本質を見つけ、その本質を今の時代に合わせた価値として提供しているサービスやプロダクトだけが生き残れるのだと思います。 さらにその時代の変化速度は、テクノロジーの発展により人類史上最速です。地球の裏側で会ったことのない人の考えや発言を、SNSなどを通してほぼリアルタイムで知ることができるのです。 だからこそ、その時代の変化に対して「超柔軟」でいることが、お金のスキルを身につける上でも重要な要素といえます。 ただ超柔軟であることはなかなか難しいのも事実です。なぜなら人間は、生まれたときに存在していたものを自然の一部ととらえ、15歳~35歳の間に発明された新しいものをエキサイティングなものととらえ、35歳以降で発明されたものを自然に反するものととらえるといわれているからです。スマートフォンやSNSは苦手だ、という人が若者に少ないのはそういう理由です。 そしてテクノロジーの進化により、これからはお金についても情報がますます透明化される時代です。金融商品はお金の課題を解決するソリューションの一つですが、テクノロジーの進化による情報透明化と、来年4月から全国の高校生に金融教育が正式開始されるようにユーザー側(金融商品だと買い手側)のエンパワーメント促進の流れによって、金融領域も情報の非対称性が少なくなっていく時代に入ります。 そういう時代だからこそ、金融商品を販売せずに中立的なファイナンシャルリテラシーだけを提供し、ユーザーに寄り添い、ユーザーのお金のスキルをエンパワーメントする職業を「ファイナンシャルコンサルタント」と定義し、それを次の時代の日本の新しい職業にしていくことが、我々チームABCashの野望のひとつです。 数十年前には、エンジニアやユーチューバーという職業もきっと誰も聞いたこともないし、想像もしてなかったと思います。 時代に求められる職業の誕生と衰退のスピード、それもかつてない速さで変化しているのです。 Takahiro Kodama 1983年宮崎県生まれ。大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amebaブログ事業部長、AbemaTV広告開発局長を歴任。2018年、海外に比べて遅れている日本の金融教育の必要性を強く感じ、株式会社ABCashTechnologiesを設立。代表取締役社長に就任。2019年、すごいベンチャー100受賞、スタートアップピッチファイナル金賞。趣味はサーフィン。
「なぜ今、ガソリン価格が高騰するのか?」ABCash児玉隆洋(GOETHE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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