「原油価格」の上昇は“3~6か月後”に生活を直撃する!? 原油価格の高騰がさまざまな商品の「値上げ」に影響する理由と、原油価格の今後の見通しを解説!
ダイヤモンド・ザイ2022年1月号の巻頭「NEWS CHANNEL」では「原油価格」について解説。原油価格の上昇により、電気やガス代、さらには食料品や日用品なども値上がりし、頭を悩ませている消費者も多いだろう。そこで、この記事では、原油価格上昇の背景や、今後の見通しを解説!
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直近では急落するも、原油価格は2020年末から上昇基調!
解決のメドが立たない需給のひっ迫が要因
2021年11月末現在、新型コロナウイルスのオミクロン株の影響により、世界経済の先行きに対して警戒感が強まったことから、原油の国際的な価格指標である「WTI原油先物価格」が急落している。
しかし、それまでのWTI原油先物価格は強気の上昇を続けており、2021年10月には、7年ぶりに80ドルの高値を突破。年初には40ドル台だったので、1年足らずにして2倍に急騰したことになる(※2021年12月2日時点では67ドル前後)。
ここまでの原油価格の上昇には、需給のひっ迫が影響している。コロナワクチンの普及で、世界的に景気が回復し、エネルギー需要も高まったが、供給のほうは追いついていない。足元の需給はタイトだが、世界の原油生産の半分を担うOPECプラス(中東やロシアなど、産油国23カ国のグループ)は、増産に消極的。2021年11月4日の会合でも、従来の協調減産路線を維持する方針を決定し、日・米など消費国の追加増産の要請に応じなかった。今後も需給のひっ迫が続くとの懸念が、原油価格を押し上げる形となったのだ。
さらに、コロナ禍の前後で大きく変わったのが、世界的な“脱炭素”の潮流である。シェール革命(※天然ガスの一種であるシェールガスを大量に保有する米国が、2000年代後半から技術革命によって、その掘削技術を獲得。増産に成功し、世界のエネルギー市場に多大な影響を及ぼしたこと)以降、世界最大の産油国になった米国では、バイデン大統領が脱炭素政策を推進。コロナ禍で、多くのシェール業者が破綻しているが、原油価格の上昇によって業者の採算が見込めるようになっても、コロナで落ちた産油量は元に戻っていない。これは、脱炭素政策の影響が大きいだろう。
一方、消費大国である中国も脱炭素へと向かっている。発電向けのエネルギー源として、二酸化炭素の排出量の多い石炭から石油へのシフトが進み、需要は増大している。楽天証券経済研究所・コモディティアナリストの吉田哲さんが「脱炭素が世界の石油バランスを変えました」と話すのも納得だ。
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原油価格が上がると時間差で電気やガス代が上昇!
多くの食料品や生活用品も値上がりする可能性が高くなる!
こうした状況を踏まえて考えると、目下急落しているとはいえ、今後また原油価格の上昇が続く可能性は高そうだ。
それでは、私たちの生活にはどのような影響が出てくるのだろうか。2021年に入ってから、ガソリン価格のみならず、電気やガス料金もかなり上昇している。これはもちろん、原油価格の上昇の影響だ。マーケット・リスク・アドバイザリー代表の新村直弘さんは「電力会社やガス会社の料金制度により、原料価格の動向が電気代やガス代に反映されるまでには、タイムラグがあります。電気代は3カ月後、ガス代は6カ月後に表れます」と話してくれた。
上のグラフに見られるように、2021年は1月から3月にかけて、原油価格は急ピッチで上昇。それを受けて電気代が上がったのは2021年5月、さらにガス代が上がったのは2021年9月と半年遅れだった。この法則を当てはめて考えると、2021年10月に原油価格が80ドル台になっているため、電気代は2022年1月以降、ガス代は4月以降に、さらに値上がりすることが見込まれる。
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そればかりでなく、影響は生活全般に広がりそうだ。楽天証券の吉田さんが、身近な商品に及ぼす影響について、“納豆”をたとえに解説してくれた。納豆を作るときには①大豆を海外から国内に輸送する船賃、②豆を蒸すボイラーの燃料、③パッケージやフィルムの原料が必要になるが、これらすべてに原油が関わっている。そのため、原油価格が上昇すれば、納豆の価格も値上がりする可能性がある。
もちろん、これは納豆に限った話ではなく、原油価格の上昇は、さまざまな商品の値上がりを促す要因となり得る。実際、2021年になってマーガリン、食用油、小麦粉、パン、菓子類など、値上げに動いた商品は数多い。すでにインフレの兆候が出始めていると言えそうだ。節約などで家計のコントロールを心掛けるべきだろう。
さて、気になるのは、この先の原油の値動きだ。ダイヤモンド・ザイ編集部は、複数のアナリストなどに取材したが「WTI原油先物価格は2021年末に90ドル近辺まで上がるが、その後は下落する」とみる人が多かった。
マーケット・リスク・アドバイザリーの新村さんは「想定を超える厳冬になれば、一時的に100ドル突破もありえます。ただし、冬にピークアウトして春には70ドル台前半に落ち着くでしょう」とみる。大和証券チーフグローバルストラテジストの壁谷洋和さんも「1年後には60ドル台に落ち着く」との予想。仮に、原油関連の金融商品に投資するにしても、短期目線にとどめておくのがいいかもしれない。
また、「先物には投機マネーが入るので、実際の需給とは関係なく思惑で動くことも。コロナ・ショック時にWTI原油先物価格がマイナス40ドル台と、ありえない価格を付けたのがいい例です」(壁谷さん)。値動きが激しい点にも十分注意しておこう。
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