原材料価格の高騰が続く中、企業のインフレ期待は上昇傾向が鮮明になっている。販売価格に転嫁する動きも出始めており、日本銀行が掲げる2%目標には遠いものの、物価は想定よりも強めで推移する可能性が指摘されている。
日銀が13日に公表した 12月の企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」によると、企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は平均で1年後が1.1%上昇と1%台に乗せ、2015年9月調査(同1.2%上昇)以来の高水準となった。プラス幅の拡大は4期連続で、拡大幅の0.4ポイントは調査を開始した14年3月以降で最大。3年後と5年後も前回からプラス幅が拡大した。
原油など世界的な原材料価格の高騰が続いていることが、インフレ期待の上昇の背景にある。今回の短観でも仕入価格判断DI(上昇-下落)は大企業の製造業がプラス49、非製造業がプラス25と前回からそれぞれ12ポイント、8ポイントもプラス幅が拡大した。
一方の販売価格判断DIは大企業の製造業がプラス16、非製造業がプラス10とそれぞれ6ポイント、4ポイントの拡大にとどまったが、大企業全体の水準は1980年8月調査以来の高さだ。日銀の調査統計局は、短観調査で企業から原材料コストの上昇を懸念する声が幅広く聞かれたとしているが、経常利益計画は上方修正され、増益が見込まれている。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、価格転嫁の動きもあって、消費者物価(除く生鮮食品)は日銀が10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した見通しよりも上振れ気味で推移することが見込まれ、「2%の物価安定目標の実現に遠いなりには、前進している」との見方を示した。
企業のインフレ期待は上昇鮮明、原材料価格が高止まり-日銀短観 - ブルームバーグ
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