インド西部グジャラート(GJ)州の、州政府産業開発公社(GIDC)は3月30日、「2022年度の公社不動産に関する産業用・住宅用地の割当価格について」を発表した。4月1日から、GIDCが管轄する工業団地には改定後の割当価格が適用される。
今回の価格改定に伴い、GIDCが日系企業の誘致を目的に州最大都市アーメダバード郊外に設置している2カ所の「日本専用工業団地」の場合、1平方メートル当たり割当価格は、「マンダル日本専用工業団地」が3,190ルピー(約5,423円、1ルピー=約1.7円)、「コーラジ工業団地」が4,110ルピーと、ともに約10%引き上げられた(注)。過去数年の割当価格の推移は、添付資料表のとおり。
新価格は2022年4月1日から、次の価格改定の決定通知があるまで有効となる(通常、毎年4月に改定)。同日以降の新たな土地の割り当てをはじめ、譲渡価格や未利用地への罰則金などの基準として適用される。
GIDCは2021年度に、今回と同額への割当価格引き上げについて、いったん4月に決定したものの据え置いた経緯がある。当時は、2020年5月以来の「新型コロナ禍」で経済活動が低迷し、工業団地への需要も低下している状況下であり、価格引き上げの決定通知に対して、多くの産業団体から州政府に対して非難の声が上がったためだ(2021年4月22日記事参照)。GIDCは産業界からの要請を受けるかたちで、あらためて2021年9月3日付の通知において、2021年度の割当価格の据え置きと引き上げ延期を行った。今回の引き上げ通知に関しては、現在のところ、前回のような産業界からの反対の声は出ていない。
「メーク・イン・インディア」を掲げるナレンドラ・モディ首相のお膝元であるGJ州では、従来から日系企業進出への期待が大きい。州政府はジェトロとのMoU(覚書)に基づき、「マンダル日本専用工業団地」の整備を進める一方、「コーラジ工業団地」に日本企業専用区画を設定するなど投資環境を整え、特に日系製造業の誘致・集積を積極的に進めてきた。また、日本企業の新規投資案件に優先的に対応するため、投資誘致機関「iNDEXTb」やGIDCの「ジャパン・デスク」も設置されている。しかし、過去約2年間の新型コロナ禍で日本からの新規投資案件の停滞が続いている。
ここに来て、インドでは新型コロナウイルスによる感染がようやく落ち着きを見せ始め、経済活動が再開されつつある。インドへの入国条件の緩和や国際航空便の再開も始まり、ジェトロ(アーメダバード)においても新規投資案件の相談や、日本や周辺国からの出張者が戻り始めている。2022年3月の岸田文雄首相の初訪印の際には、カーボンニュートラル実現を見据え、スズキがGJ州と大型投資案件に関するMoU(覚書)を締結(電気自動車と車載用電池の現地生産や、廃車・リサイクル工場の建設)するなどの動きも出てきた。
GJ州政府は、「新型コロナ禍」においても、グリーンエコノミーや、電気自動車産業、スタートアップ・エコシステム構築などの分野において、新たな流れをつくることに取り組んできた。新型コロナウイルス収束後を見据え、「製造拠点にとどまらないGJ州」の優位性が再評価され、日本からの新規投資が再び活発化することが期待される。
(注)リンク先情報は、更新の予定。
(古川毅彦)
グジャラート州が工業団地の割当価格を改定(インド) | ビジネス短信 - ジェトロ(日本貿易振興機構)
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