ガソリンスタンドに表示されたガソリン価格。カリフォルニア州サンディエゴで2021年11月9日撮影。
Mike Blake/Reuters
- ガソリンの価格が史上最高を更新したが、原油価格は下がっており、対照的な動きを見せている。
- ダラス連邦準備銀行のエコノミストは、大手石油企業はガソリンスタンドの小売価格にほとんど影響力を持たないと話している。
- ガソリン価格が、ベンチマークである原油価格と同じ動きを見せない理由について見てみよう。
ガソリンと原油はこのところ対照的な動きをみせ、ガソリンスタンドの販売価格は史上最高を記録したが、原油価格は過去数年の高値から脱している。
アメリカ自動車協会によると、ガソリンの平均価格は5月11日、1ガロン4.40ドルになった。一方、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の原油価格は3月に1バレル123ドルと高騰し、2014年以来の高値となったが、それ以降は下降して106ドルまで落ちた。
ガソリン価格の59%は原油によるものであることを考えると、原油価格の22%の低下はガソリン価格の13%の低下になるはずだが、それは起きなかったと、ダラス連邦準備銀行が発表した先日の報告書でエコノミストは述べている。
この食い違いは、原油市場ではなくガソリン市場での摩擦によるものだと、ダラス連邦準備銀行のシニアエコノミストのガレット・ゴールディング(Garrett Golding)と、シニアエコノミックポリシーアドバイザーのルッツ・キリアン(Lutz Kilian)は述べた。政治家が価格高騰について調査を求めているが、大手石油企業はアメリカのガソリンスタンドのわずか1%しか所有していないため、小売価格の直接的なコントロールはほとんどできないと、報告書には記載されている。
エコノミストによると、ガソリン価格の高い状態が続いているのは、小売部門のトレンドによるものだ。報告書では考えられるこの動きの理由について列挙している。
- ガソリンスタンドで、ガソリン価格の引き上げが遅れた初期の損失を取り戻そうという動きが出ている。
- 再び原油価格が高騰することへの懸念して、価格の引き下げを躊躇している。
- 消費者はガソリン価格が下がったときよりも、高騰したときに安いガソリンスタンドを探す傾向がある。それがガソリンスタンドの価格決定力を高め、価格を上げるときよりも下げるときの方がペースが落ちる。
- 温暖な気候は需要が増加させる傾向があり、それが小売価格を押し上げている。
そして、アメリカの原油供給量の増加が助けになると期待してはいけない。
「もっとも楽観的な見方をしても、アメリカの生産量の増加は現在より1日わずか数十万バレル増えるだけだ」と、ダラス連邦準備銀行のエコノミストは述べた。
「その量は、1日あたり300万バレルに容易に達する可能性のあるロシアへの制裁による原油供給の減少と比較しても、日産1億バレルの世界の石油市場にわずか1滴を加えるようなものだ」
[原文:Here's why gas prices are hitting record highs even as crude oil has fallen]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)
原油価格が下落してもアメリカのガソリン価格が下がらない理由 - Business Insider Japan
Read More
No comments:
Post a Comment