2022年6月8日
農業に欠かすことのできない肥料の価格が高騰している。急激な円安や中国の輸出制限による原材料の高騰を受け、全国農業協同組合連合会(JA全農)は6月以降に販売する肥料の大幅な値上げを発表。農繁期を迎えている兵庫県美方郡の農家は経営への打撃を懸念し、補助金など行政による支援を求めている。
JA全農によると、肥料の主な原料となるリン酸の価格を2020年1月の水準と比べた場合、22年3月は4・3倍と急騰。このほか尿素は3・8倍、塩化カリウムは2・6倍に上昇した。この影響で6月以降は肥料の販売価格を最大94%値上げ。今後も肥料価格のさらなる値上げを想定しているという。
急な値上がりに美方郡の農家からは戸惑いの声が上がる。
新温泉町栃谷の農家、小谷正美さん(72)はコメを110アール、ソバを80アール栽培してJAなどに出荷。春先に使う肥料は昨年購入していたため今のところ大きな影響はないが、「高騰が続きそうで今から不安」と危機感をあらわにする。そして「肥料や燃料の高騰は離農に拍車をかけ、耕作放棄地の増加にもつながる。国や県、町には農家への補助を検討してもらいたい」と訴える。
香美町村岡、小代両区の水田約10ヘクタールでコメを栽培する西村伸一さん(74)=同町村岡区萩山=は、リン酸を原料とした肥料2・4トンを田植えと同時に使用。現時点でJAから値上がりの連絡はないというが「使用量が多いので、少しの値上がりでも経営に与える影響は大きい」と懸念する。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛などで飲食店でのコメの需要が低迷し、JAの買い取り価格も低水準が続いている状態だという。「コメが高く売れれば(肥料が値上がりしても)問題ないが、現状は厳しい。今後も肥料が高騰すれば農業を継続するのが困難になるのではないか」と、不安な心境を明かした。
肥料価格高騰 農繁期の農家に危機感 - 日本海新聞
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