新型eKクロス EVは一般的な電気自動車の半額程度で手に入るお手頃なモデルだ
サイズ、価格
最近は電気自動車の新型車が続々と登場しています。日産 アリア、トヨタ bZ4X、スバル ソルテラなどが挙げられますが、いずれも3ナンバー車です。ソルテラの価格は、一番安いグレードでも594万円ですから、経済産業省による85万円の補助金を差し引いても500万円以上です。
その意味で注目されるのが、三菱 新型eKクロス EVでしょう。軽自動車だから価格も割安です。Gは239万8000円で、経済産業省による55万円の補助金を差し引くと、実質価格は184万8000円まで下がります。上級のPは293万2600円ですが、同様に補助金を差し引くと238万2600円です。ソルテラの半額以下ですね。
また新型eKクロス EVのボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mmと、eKクロスとほぼ同じサイズとなります。軽自動車はコンパクトで運転もしやすく、最も身近な電気自動車といえるでしょう。
そして電気自動車では、1回の充電で走行できる距離が短いという欠点が指摘されますが、軽自動車なら話は変わります。主に買い物など街中の移動に使われるため、長距離を走る機会は少なく、1回の充電で100km程度を走行できれば不満はないでしょう。
特に自宅にハイブリッドやノーマルエンジンを搭載したSUVやミニバンもある場合、長距離の移動にはそのファーストカーを使います。軽自動車は街中専門の移動手段ですから、走行距離は問題になりにくいです。
そこで新型eKクロス EVに試乗してみました。車両の概要は、2022年5月26日に掲載したので、参考にしてください。
新型eKクロス EVは新型サクラと異なり、外装面でガソリン車との区別は微々たるものに
内外装、デザイン
新型eKクロス EVは、基本的には日産 新型サクラと同じクルマですが、内外装は大きく異なります。サクラは日産の電気自動車シリーズとして、アリアやリーフと共通性を持たせましたが、新型eKクロス EVは三菱車の特徴を表現しました。
今の三菱車のフロントマスクは、ボディの側面がフロントマスクまで回り込むような「ダイナミックシールド」で、新型eKクロス EVもこれを採用しています。そのために内外装は、ガソリンエンジンを搭載するeKクロスとほぼ同じです。
内装も同様ですが、後席の座り心地はeKクロスに比べて改善されています。eKクロスは座面の柔軟性が乏しく、座り心地に不満が伴いましたが、新型eKクロス EVはしなやかです。腰の支え方も向上して、カーブを曲がる時でも着座姿勢が乱れにくいです。
新型eKクロス EVは電気自動車らしい鋭い加速が特徴!
試乗、走行インプレッション
試乗を開始すると、ガソリンエンジンのeKクロスとは、デザインは似ていても走りはまったく違います。モーター駆動だから加速が滑らかで、速度を直線的に高めます。エンジンを搭載しないので、走行音もきわめて小さいです。そのためにタイヤが路上を転がる音が妙に響きますが、違和感はありません。
そしてエンジンの動力性能は、回転の上昇に伴って高まりますが、モーターは瞬発力が強いです。従って停車している時、あるいは高速道路を巡航している状態からの加速が鋭いです。
新型eKクロス EVは、イノベーティブペダルも採用しました。このスイッチを入れておくと、アクセルペダルを戻すと同時に、モーターが減速エネルギーを使った発電を積極的に行います。この時には速度が大きく下がるため、アクセル操作だけで速度を幅広く調節できます。
新型eKクロス EVのドライブモードにも注目したいです。ノーマル/電力消費量を節約できるエコ/動力性能を高めるスポーツモードを設定しました。イノベーティブペダルを解除して、Dレンジ+エコモードで走ると、走行抵抗を大幅に減らせます。空いている道を、ほとんど加減速を行わずに時速50km以上で巡航するような時は、Dレンジ+エコモードを使うと電力消費量を節約しやすいです。
逆に加減速を繰り返しながら混雑した街中を走る時は、イノベーティブペダルを使うと効果的でしょう。この時もエコモードを選ぶと、効率を高めて電力消費量を抑えやすいです。
そして峠道を走る時は、イノベーティブペダルを使いながら、スポーツモードを選びます。加減速が一層機敏になり、文字通りスポーティな走りを満喫できます。イノベーティブペダルは、走行状態に応じて使い分けましょう。
改良を要するのは、スイッチの位置です。イノベーティブペダルのスイッチはATレバーの右側、ドライブモードはステアリングホイールの右下に装着され、位置が離れています。慣れないと使いにくいです。
新型eKクロス EVの乗り心地は軽自動車としては快適です。車両重量がガソリンエンジンを搭載するeKクロスよりも約200kg重く、サスペンションも柔軟に伸縮するからです。時速40km以下で街中を走ると、路上のデコボコを伝えやすいですが、速度が少し上昇すると快適になります。駐車場から路上に出る時の段差でも、不快なショックを伝えにくいです。
乗り心地に配慮したので、峠道を走るとボディの傾き方が大きく感じます。それでも挙動の変化が穏やかで、後輪の接地性も高いため、車両の姿勢が唐突に変わることはありません。高速道路で横風にあおられた時なども、軽自動車としては直進安定性が優れています。
この背景にあるのは、電気自動車のレイアウトです。床下にリチウムイオン電池を搭載したことで重心が下がり、衝突時に電池を保護するための補強を行ったから、ボディ剛性も高まりました。このようなクルマ造りが、乗り心地と走行安定性を高水準で両立させました。
そしてガソリンエンジンを搭載するeKクロスを開発する時から、電気自動車の追加も視野に入れていたので、あらかじめリチウムイオン電池を搭載するスペースも確保されています。
そのために床の高さはeKクロスと同等で、電気自動車になっても、居住性や乗降性に悪影響は生じていません。実用性を損なわずに、電気自動車に発展させました。
以上のように新型eKクロス EVは、電気自動車らしく加速が滑らかで静粛性も優れ、動力性能、走行安定性、乗り心地、居住性、積載性まで満足できます。
街中メインで使用するならGグレードでも十分! 価格もガソリンターボモデルと遜色ない
グレード、補助金
新型eKクロス EVのグレードは前述の通り、Gと上級のPがあります。今回試乗したグレードはPですが、街中を中心に走るならGでも十分です。経済産業省による55万円の補助金を差し引くと、実質価格は184万8000円ですから、ガソリンターボエンジンを搭載するeKクロスTの168万8500円に近いです。
オプションでは、寒冷地パッケージを装着すると良いでしょう。ステアリングヒーター、フロントシートヒーター、リヤヒーターダクトなどが標準装着され、オプション価格を3万3000円に抑えました。電気自動車で車内を暖めるヒーターを使うと、電力消費量が増えて走行できる距離が短くなりますが、ステアリング/シートヒーターがあると、電力消費量を抑えながら寒さも防げます。
新型eKクロス EVを購入したいと考えたときに注意したいのは納期です。約半年を要しており、2022年末になると、今年度の補助金を使い切って終了する可能性もあります。
もし使い切ってしまった場合は次年度に申請できますが、交付額が減るかもしれません。購入するなら、商談をなるべく早めに開始すると良いでしょう。
補助金は国と地域の自治体から出ているケースがあるので、気になった方はお住まいの地域を調べてみると良いでしょう。
【筆者:渡辺 陽一郎】
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