買い物へ出かける前に戦略を立てておけば、食費の大きな節約につながる。
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- 物価上昇の打撃は、多くの家庭に食費の増加という形で大きく表れている。
- 物価上昇は、エンゲル係数が高くなりがちな低所得者層に痛手が大きい。
- 食費は避けられない出費だが、戦略的に買い物することで大幅に削減できる。
物価が上がるときに、消費者が最も痛手を感じるのが食費だ。それに物価上昇は、家計に占める食費の割合が高い低所得者層に大きく影響する。米農務省(USDA)によると、2020年に低所得家庭が食料に支出した平均額は4099ドル(約55万円)で、所得に占める割合は27%に上った。
住宅ローンや家賃、光熱費、ローンの返済などと同じく、食費は必要な経費だ。家計が苦しい時でも単純に生活費から食費を除外することはできないが、積極的に減らすことは可能だ。
金融サービスの比較サイト、スーパーマネー(SuperMoney)の編集長でCFP®のアンドリュー・レイサム(Andrew Latham)氏は「賢く買い物することで、食費を年間で5~10%節約できる。その上、クレジットカードで支払えばカード会社からキャッシュバックももらえる」と言う。
食料品は避けられない買い物だが、よく考えて買い物すれば定価を支払わなくても済む。毎月の食費を抑える12の方法を順番に紹介しよう。
1.ポイントカード、お得意様サービス、キャッシュバックアプリ
適切なカードを適切な店で使えるなら、食料品に対してキャッシュバックを受けられるクレジットカードは、節約にもなるし、特典も付いている優れた方法だ。
例えば、一番お得なスーパーのカードなら、最大6%のキャッシュバックを受けられるし、ウェルカムボーナスや初回金利0%といった特典が付いているタイプもある。ただし、初回金利の適用期間の終了後に残高が残っていると、その後発生する金利で特典が帳消しになるかもしれないので気をつけよう。
また、いつも行く店のお得意様サービスを活用した節約も可能だ。米国在住者ならウォルマート、ターゲット、クローガーなどの小売店では、食料品の無料配達、ガソリン代の割引、店内セールの案内などの会員向けサービスを提供している。
さらに、米国在住者ならアイボッタ(Ibotta)のようなキャッシュバックアプリを使えば、食料品に支払った額の一部がキャッシュバックされる。やり方はこうだ。まず、アプリをダウンロードして、割引が利用できる商品を検索し、店舗で購入する。レシートの写真を送って購入したことが証明できると、48時間以内にアイボッタの口座にキャッシュバックが入金される。
2. スーパーのクーポン
クーポンなんて時代遅れな戦略に聞こえるかもしれないが、店舗での買い物ではいまだに有効な節約方法だ。オンライン店舗からのクーポンコードを掲載・追跡するウェブサイト、クーポンフォロードットコム(CouponFollow.com)の調査によると、平均的なアメリカ人ならば、オンラインや携帯クーポンを利用することで毎月122ドル(約1万6500円)、年間では1465ドル(約19万7000円)も節約できる。
特売チラシからクーポンを切り取らなくても、オンラインクーポンがあるので、この戦略は依然よりも簡単だ。クーポンを利用した買い物でお勧めなのは、トイレットペーパー、ペーパータオル、石鹸やシャンプーといった生活用品だ。こうした商品のクーポンを見逃さず、価格が安いときに買いだめすると良いだろう。
また、クーポンで缶詰や冷凍食品を買うこともできる。生鮮食品よりも賞味期限が長いので、無駄になる可能性が低い。
クーポンの利用でかなりの節約になるが、気をつけたいこともある。
「配布されるクーポンでかなりの額を貯蓄できるが、すでに買おうと予定している商品に利用し、何時間もそれに時間を費やさないことが前提だ」と、レイサム氏は言う。続けて同氏は、家の近くで、ノーブランド品に気前よくクーポンを発行する低価格スーパーを選ぶのがカギだと付け加えた。
「ウォルマート、ターゲット、フードライオン、パブリックスといったスーパーは、すでに価格競争力のある自社ブランド品にクーポンを配布している」
3. まとめ買い
コストコやサムズクラブなどのウェアハウスストア(倉庫型の店舗で経費を抑え、ディスカウント販売を行う小売店)で大量に家庭用品を購入することでも節約になる。こうした店舗の会員になるには入会金が必要だが、1個当たりの値段は下がるし、大量に買うことで買い物に行く回数を減らせる。
レイサム氏は、まとめ買いが節約の優れた方法だという点に賛同する。一家がパンデミック中にまとめ買いを始めたところ、昨年はその前の年より食料品への支出額が減ったそうだ。
だが、クーポンと同様に、必要以上のまとめ買いには気を付けたい。大きな袋に入った生鮮食品は、食べる前に傷んでしまえばお金の無駄遣いになるし、買い置きした食品も使わなければ、場所ばかり取る無駄な出費になる。
4. 食料支援プログラム
家計がひっ迫しているならば、米国在住者なら補助的栄養支援プログラム(SNAP)のような食料支援プログラムを申請できるかもしれない。SNAPは低所得家庭に栄養支援を行う連邦プログラムだ。
このプログラムに手を挙げるには、地域のSNAP事務所を訪問して州政府に連絡する。州政府がその家計がプログラムの受給資格があるかどうかを判断する。
SNAPの対象外であっても、フードバンクを通じて無償の食料を受け取れる可能性がある。フィーディングアメリカ(FeedingAmerica.org)のサイトで近くのフードバンクを検索できる。
5. 肉を使わない食事
食料コストは軒並み上昇しているが、牛肉や豚肉といった食肉の値上がりが最も激しい。今年6月の牛肉価格は前年から20%、豚肉価格は14%値上がりしている。
食費を抑えるために、週に何度か肉を使わない食事を計画してみよう。鶏肉や牛肉を用意する代わりに、大盛のサラダや、米や豆やツナを使った料理を週に数回作ってみるのはどうだろうか。従来の食事に替わるこうした低コストの食事は、たいしてお金をかけずに健康的なタンパク質が取れる。
また、夕食にごちそうを出す必要もないだろう。スクランブルエッグのような朝食に出すメニューを夕食に用意することで、シンプルな食事にできる。朝食に出す食事は調理が簡単ですぐに用意できるし、たいていの子どもは喜ぶ。
6. 整理と事前計画
お金の使いすぎを避ける最善の方法の1つは、計画を立ててスーパーに行くことだ。買い物リストを持ってスーパーに行き、リストにないものは絶対に買わない。衝動買いなどたいした出費ではないと思うかもしれないが、徐々に懐具合が苦しくなる。
食糧庫や冷蔵庫を常に整理しておけば、何があって、何が必要かがわかる。家族がどのくらい早く食材を消費するか追跡してみよう。
また、スーパーに行く回数を減らしてみるのも手だ。傷んだり賞味期限が切れたりする前に今ある食材を消費することで、廃棄を削減できる
7. 献立を立てる
いつも夕食の献立を決めずに週の半ばまで過ごしていないだろうか? 献立はこれを解決してくれる優れた方法だ。材料費の安いレシピで、今週の献立を立ててみよう。
USDAのウェブサイトには、たくさんの季節のレシピが掲載されているし、ニュートリション・ドットコム(Nutrition.gov)にも献立のアイデアが満載だ。
レイサム氏の一番のお勧めは、献立とまとめ買いの組み合わせだ。
「簡単な買い物で無駄をなくすなら、献立とまとめ買いは、年間にわたり節約効果が高い」と、レイサム氏は言う。
好きなレシピを6~7つ選んで、そのレシピに合わせて大量に買い物する。これを毎週繰り返してみよう。慣れるまで数週間かかるかもしれないが、長い目で見れば、まとめ買いで食料もお金も無駄にならないので、食費に納得できるようになるだろう。
8. ノーブランド品や自社ブランド品を検討する
お気に入りのブランドがあるならば、直接メーカーのサイトに登録してクーポンを受け取れる。だが、ノーブランド品や自社ブランド品をはなから検討しない手はない。価格が高くないのに有名ブランド品と中身がほとんど同じことが多いからだ。
9. タイミングを計る
スーパーでは特定商品の販売促進を行っており、多くの場合、定期的にセールが行われる。近くのスーパーでいつ特売になるのか注意していれば、価格が下がるタイミングがわかるようになるだろう。
例えば、週末ではなく週中に買い物すると節約できるかもしれない。新しい在庫は週中に届くので、追加でセールが行われる。もっと安いところはないか、他のスーパーと値段を比べることもできるだろう。
10. 旬の食材を買う
旬の果物や野菜はいつでも安くて美味しい。季節の食材を生かしたレシピを探してみよう。夏に市場に行って五感を研ぎ澄ませてみるのも良いだろう。
時間もやる気もあるならば、自分で果物や野菜を育ててみるのも良い。夏の間に家庭菜園でハーブやトマト、野菜を栽培できる。
11. 空腹時に買い物に行かない
空腹時にスーパーに行って、買いすぎてしまった経験はないだろうか? 栄養価が低い食料を買って、結局予算をオーバーしてしまうかもしれない。軽いおやつでも小腹を満たしてから買い物に行けば、この問題は解決する。
12. 台所を整理しておく
最後に、台所や食糧庫を整理しておくことで、食費を抑えることができる。傷みやすい食材をすぐにしまって、冷凍する物にラベルをつける。古い食材の調理を優先して傷む前に使ってしまおう。
台所を整理しておくと、どの食材があるかわかるので、スーパーで不要な物を買わなくなるだろう。これは予算を守るのに役立つだけでなく、食料廃棄も削減できる。
USDAの見積りによると、食料供給の約3~4割は廃棄されている。これは、食料を必要とする家族の支援に使えたはずの食料、約1330億ポンド(約603億キログラム)に匹敵する。
まとめ
正しい戦略で毎月の食費を抑えることができる。スーパーに行く回数を減らす、衝動買いをやめるといった小さな行動の変化が、食費に大きな違いをもたらす可能性がある。
まず、今ある食材をリストアップして、特定の食材を家族がどのくらいの期間で消費できるかを考えることから始めよう。こうした意識が賢い買い物や、定期的にお買い得商品を見つけるうえで役立つだろう。
[原文12 ways to cut your grocery bill amid soaring food prices]
(翻訳・中山桂、編集・長田真)
価格高騰の中で「食費」をスマートに節約する12の方法 - Business Insider Japan
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