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Sunday, October 2, 2022

[社説]食品価格の安定へ国産穀物の振興を - 日本経済新聞

政府は値上げが見込まれていた輸入小麦の価格を据え置いた。食品価格上昇への対応を求める声に配慮したためだが、食料の安定供給を長期的に確保するには国産穀物の振興に力を入れるべきだ。

日本は小麦の国内消費の約9割を海外から輸入している。政府が買い上げ、製粉会社などに販売している。売り渡し価格は、買い付け価格をもとに4月と10月に改定する仕組みになっている。

主産国の不作を受け2022年4月の売り渡し価格は約17%引き上げた。ウクライナ危機による国際相場の上昇や円安で、10月は2割上がるとの予想もあったが、物価対策の一環で据え置いた。

輸入小麦はパンやラーメン、パスタなどの原料として幅広く使われており、暮らしへの影響を考えれば据え置きはやむを得ない面もある。だが本来、ある商品の価格の上昇は、別のものによる代替を促すきっかけにもなる。

穀物の多くを海外産に頼る日本にとって、重要な作物は国内で自給可能なコメだ。家庭でご飯を炊く機会が減る中で、食品メーカーは米粉パンやパックご飯などの開発に力を入れている。輸入小麦の価格が上がれば、そうした商品の追い風になるはずだった。

円安により、輸入小麦の価格上昇圧力は今後も続くだろう。必要なのはコメの生産性の向上だ。将来性のある生産者に農地を集めてより安い値段でコメを販売することを可能にし、コメの関連商品の消費拡大を後押ししてほしい。

国産小麦の生産拡大も課題だ。国や自治体が力を入れるべきなのは、収量や品質が向上する品種や栽培技術の開発だ。安定して調達できるようになればパンメーカーなども扱いやすくなる。

補助金の出し方も検討が必要だろう。北海道を除けば、コメの転作で小麦をつくっている地域が多い。湿気の少ない畑のほうが生産が安定するが、その場合は農家の受け取る補助金が減る。

長期的に国産小麦を伸ばす必要性を考えれば、畑の作物として正面から生産を振興すべきだ。そのための支援の仕組みを再構築することが求められる。

輸入小麦の価格据え置きは国民負担を軽くするが、効果は一時的なものにすぎない。食料安全保障の観点から見れば、国内の生産基盤を強くすることが重要だ。それに資するような農政の全体像を示すべき時期にきている。

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[社説]食品価格の安定へ国産穀物の振興を - 日本経済新聞
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