日銀の大規模金融緩和が始まった2013年以来、都内のマンション価格は上昇の一途をたどってきた。一戸建て住宅価格はほぼ横ばいだったが、ここ2年ほどで上昇に転じ2010年に比べ32.6%のプラスとなっている。アベノミクスでも動かなかった一戸建て価格が上がり始めた背景には、円安や原材料高に加えて消費者の見方の変化がありそうだ。
国土交通省の不動産物価指数によると、マンション価格に比べ大きく上がっていなかった一戸建て住宅価格は、コロナ前と後で2割以上も上昇した。
これまで一戸建て価格の動きが鈍かった理由について、ニッセイ基礎研究所の佐久間誠主任研究員は「金利の低下は全ての不動産にとって追い風だったが、一戸建ては需要面の追い風がなかった」と解説する。共働き世帯の増加とともに駅に近く利便性が高い物件の人気が高まったマンションに対し、一戸建てはそうした需要が少なく伸び悩んだという。
しかし、コロナ禍による行動制限で在宅勤務が一気に普及。国交省の調査によると、勤務先にテレワークなどの制度がある就業者の割合は22年度に37.6%と、コロナ前の約2倍となった。出社を前提としない働き方が浸透し、駅から遠くても比較的広い一戸建てに追い風が吹いた。
一戸建て価格の高騰は円安や原材料高などの建築コストの上昇も反映しているが、「今後、原材料価格の低下は見込めず、建築業界の人手不足は顕著。建築コストは高止まりするだろう」と佐久間氏。当面、現在の傾向が続く可能性がある。(原田晋也)
関連キーワード
おすすめ情報
東京都内の一戸建て住宅価格急上昇 2010年比でプラス32.6%<深掘りこの数字>:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞
Read More
No comments:
Post a Comment