食品の値上げラッシュにもかかわらず、店頭販売価格が下がっている商品もある――。東芝データ(東京都港区)は9日、東芝グループが展開する電子レシートのデータを分析して発表した。メーカーの値上げ発表だけでなく、日々の店頭価格を冷静に見極めることが、節約のヒントと言えそうだ。
電子レシートは、紙ではなく、スマートフォンなどで購入履歴を確認できる。東芝グループの電子レシートサービスは4月末時点で、スーパーや薬局など、全国424社(1万3708店舗)が導入し、約130万人が利用する。調査はスーパーで売られた食品を対象に、1~4月の店頭価格の推移を集計した。
東芝データによると、店頭価格の値下がり傾向が明らかになったのは5分野の商品。最も価格の下げ幅が大きかったのが食用油で、3月は1月比4・5%減だった。4月には野菜・果物などの生鮮農産品は同4・1%減、カップ麺が同3・1%減で、調査期間中に天ぷら粉やマカロニの価格も下がった。
なぜ、店頭価格は下がるのか。「長引く価格高騰で消費が落ち込んだ。各販売店では、利益は少なくなるものの店頭価格を下げて顧客をつなぎ留める戦略を取った可能性が高い。そうした動きが結果的に、一部品目の価格に顕著に反映されたのだろう」と指摘するのは、帝国データバンクの飯島大介氏だ。
例えば、食用油は日清オイリオが3月1日納品分から5~47%値上げするなどしている。ただ、総務省の家計調査によると、食用油の支出額は、3月が前年同月比7%減、4月が同4%増で値上げ幅ほどは支出は伸びておらず、店頭価格の上昇は抑えられたと考えられる。
カップ麺は大手6社が6月1日に値上げするのを前に、販売店が駆け込み需要の取り込みを狙って、店頭価格を抑えたとみられる。
ただ、こうした動きは一部にとどまる。帝国データの主要195社を対象とした調査(5月末時点)によると、6月に予定されている食品値上げは3575品目で、5月の830品目から急増している。飯島氏は「値上げ基調は当面続くが、一時高騰した原材料価格も今は落ち着きつつあり、値上げラッシュも鈍化するだろう。ビールは酒税改定があり、秋以降に若干値下げになる可能性もある」と指摘する。【平塚裕介】
値上げラッシュなのに店頭価格下げ? 電子レシートで見える戦略 - 毎日新聞
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