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Monday, February 26, 2024

BYDが低価格セダン電撃値下げ。日産、VWを愛する「保守的な消費者」切り崩し狙う - Business Insider Japan

中国乗用車協会(CPCA)によると、年初と年末で乗用車の価格を比較した場合、例年は年末に4ポイント前後値引き率が大きくなるが、2023年は6ポイントに拡大した。また、例年は夏場から年末にかけては価格変動が小幅にとどまっていたのに対し、2023年は年後半に値引き競争が激化し、結果として12月に販売が伸びた。

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乗用車の値引き率の推移。2023年は後半も値引きが加速した。

CPCA

CPCAの崔東樹秘書長(事務局長)はBYDの値下げ発表日に公開したレポートで、2024年は価格競争が一層激しくなると分析した。EVの製造コストの約40%を占める電池価格がこの2年で大きく値下がりしており、今後発売する新エネルギー車(EV、PHV、FCV)は価格を下げやすい。新エネ車の価格がガソリン車と同レベルになると、価格、走行体験ともに大きな変化がないガソリン車は、これまで以上に強い逆風を受けると予想する。

ガソリン車が強い地域切り崩し

BYDは今回の値下げで「電比油低」(EVはガソリン車より安い)というスローガンを打ち出しており、特定セグメントにおけるガソリン車の切り崩しを狙っている。電池事業で創業し、半導体や部品、シートまで自社生産している同社は、販売台数が増えるほど規模の経済の効果が出やすい。昨年300万台販売を達成し、価格競争のアクセルをぐっと踏み込んだ。

BYDのブランド・PR総経理の李雲飛氏は19日、「BYDは規模の経済効果と、サプライチェーンの優勢を生かし、PHVの価格を同グレードのガソリン車より安くする。今後、ガソリン車を買う人はいなくなるだろう」とSNSに投稿した。同氏はさらに「今ガソリン車を買うのは、スマホを持っている人がポケベルを買うようなもの。今年はガソリン車との大決戦になる」とガソリン車が時代遅れであることを強調している。

自動車を価格帯でセグメントすると、5万元(約110万円)以下のセグメントでは、宏光MINIを筆頭に新エネルギー車が70%以上のシェアを獲得しているが、その一つ上である5~10万元(約110~220万円)はなおガソリン車が強い。

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BYDが2月19日に低価格セダンの大幅値下げを発表し、有力メーカーも相次ぎ追随した。2024年は価格競争がさらに激しくなりそうだ。

Reuter

2023年のセダンの販売台数で、秦PLUS DM-iは30万7400台を売り3位にランクインした。首位は日産と東風汽車の合弁会社である東風日産が製造するシルフィで37万6100台、2位は上海フォルクスワーゲン(VW)のラヴィダ(LAVIDA)で34万5800台だった。両車種のガソリン車の価格はいずれも10万元(約210万円)前後で、ブランド力やコスパの高さが評価され、長年セダン市場で首位争いをしてきた。

2018年に中国の乗用車販売台数でトップに立ったシルフィは、2020年、2021年の販売が50万台を超えた。その後EVシフトに押されて失速しているが、今もセダンではトップの座にある。ラヴィダも2019年の51万7000台をピークに販売は減少気味だが、根強い人気を保っている。

現地メディアによると、秦PLUS DM-iが最も売れている都市はBYDが本社を置く深圳で、他には杭州、蘇州、武漢など大都市で強い。一方シルフィの販売上位の都市は江西省のカン州市、山東省の済寧市、広東省茂名市など3、4級都市が並ぶ。

3、4級都市がシルフィやラヴィダの「大本営」になっているのは、手ごろな価格に加え、消費者が比較的保守的で歴史のある合弁メーカーへの信頼感が高いほか、ガソリン車の方が耐用年数が長く、故障しにくいと判断しているからだと思われる。

秦PLUS DM-iは従来価格でも十分に競争力があり、ガソリン車のシェアを着実に削っているが、今回さらに価格を下げて同グレードのガソリン車より安いことを打ち出し、保守的な地域に一気に切り込むつもりだ。


中国汽車工業協会は2024年の新車販売台数を前年比3%増の3100万台と予想する。市場の伸びは減速するが、新エネルギー車の販売は同21%増の1150万台と見込んでおり、ガソリン車の生存空間は一層小さくなる。CPCAによると今年1月の国内自動車販売における新エネルギー車の比率は32.8%で、前年同期の25.6%から7ポイント上昇した。

春節休暇が明け仕事初めとなった18日、複数の自動車メーカーのトップが従業員向けのあいさつで、自動車業界の競争は一層厳しくなると檄を飛ばした。小鵬汽車(Xpeng)の何小鵬CEOはその厳しさを「血で血を洗うトーナメント戦」と表現した。中国市場では防戦一方の日本メーカーも、厳しい局面を迎えるかもしれない。

浦上早苗: 経済ジャーナリスト、法政大学MBA実務家講師、英語・中国語翻訳者。早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社(12年半)を経て、中国・大連に国費博士留学(経営学)および少数民族向けの大学で講師のため6年滞在。最新刊「新型コロナ VS 中国14億人」。未婚の母歴13年、42歳にして子連れ初婚。

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